下野電気鉄道デハニ101形電車

下野電気鉄道デハニ101形電車について

下野電気鉄道デハニ101形電車は、1931年に下野電気鉄道によって製造された電車です。下野電気鉄道は1943年に東武鉄道に吸収合併され、その後大規模な改名が行われ、デハニ101形はモハニ1670形として知られるようになりました。また、この形式を元に、荷物電車であるモニ1670形も誕生しました。

歴史と背景

藤原線という762mm軌間の路線を運行する下野電気鉄道は、1930年代初頭に東武鉄道との接続を強化するために、1,067mmへの改軌工事を行いました。これに合わせて、架線電圧を600Vから1,500Vへ引き上げる計画に基づいて新たな電車が必要とされました。しかし、デハニ101形の製造が計画より遅れたため、当初は東武鉄道から借入れた車両で運行されました。最終的にデハニ101形は1931年7月に運行を開始し、その後も長きに渡り使用されました。

車両の設計と特徴

この電車の車体は半鋼製で、両運転台を設計に取り入れています。全長は14,796mmで、当時の東武形車両に比べると若干小さめです。また、屋根は深い構造をしており、窓配置やボディのデザインも東武形車両との共通点が見受けられます。運転室は中央に位置しており、開放的なデザインが採用されています。客室はロングシート仕様で、トイレは設置されていません。各客用扉の下にはステップがあり、駅ホームとの高低差を考慮しています。

主な機器と性能

この電車には東洋電機製造が開発した制御器と主電動機が装備されています。具体的には、ES-156電動カム軸式制御器が搭載されており、主電動機はTDK-571/Aを4基持つことで構成されています。これにより、単行運転に対応できる設計がなされていましたが、出力は比較的低く設定されています。台車は住友金属工業製のKS31L型が使用されており、平軸受仕様が採用されています。これにより、走行中の安定性を確保しています。

運用と最終的な変遷

デハニ101形は、東武鉄道への統合後も長らく鬼怒川線で運用されていましたが、その後の輸送量の増加に伴い、性能の不足が課題となりました。1951年には形式番号が改訂され、モハニ1670形として運行を続けました。その後の1960年代に一部車両が客室化改造されて館林地区で運用された他、最終的に残った1両は荷物電車に転用されました。

1972年には、使用年数の長さから老朽化が懸念され、すべての車両が廃車となりました。この廃車は、東武鉄道の運用においては久々のことであり、特にデハニ101形が持つ主要機器や設計が他の形式との互換性が低かったため、再利用されることはありませんでした。ついに1973年に解体処分され、長い歴史に幕を下ろしました。

結論

下野電気鉄道デハニ101形電車は、昭和初期の日本の鉄道車両の中でも特に注目すべき存在でした。その設計や運用にまつわる歴史は、鉄道ファンや歴史愛好家にとって非常に興味深いテーマであり、日本の交通史における重要な一章を成しています。

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