下長磯町

下長磯町（しもながいそまち）

群馬県前橋市の南東部に位置する下長磯町は、郵便番号379-2151を持つ地域です。2013年現在の面積は約0.65平方キロメートル。地理的には桃ノ木川の右岸に広がり、その河川は地域の自然環境に深く関わっています。

この地名の由来については、かつてこの辺りを利根川が流れていた頃、その川岸が磯であったことにちなむとされています。水辺の地形が地名として定着した古い歴史を物語っています。

下長磯町の歴史は古く、江戸時代にはすでにその名が見られる土地でした。戦国時代には「長安村」の名で、山内上杉氏の所領を示す文書である「彦部文書」にも記されています。天正18年（1590年）に平岩親吉が前橋城主となって以降、江戸時代を通じて一貫して前橋藩の支配下に置かれました。

元は現在の上長磯村と一体であり、「長磯村」として扱われていましたが、時代が下るにつれて分村が進んだとみられます。寛文8年（1668年）の「上野国郷帳」ではまだ「長磯村」として記録されていますが、元禄15年（1702年）の元禄郷帳では上長磯村と下長磯村がそれぞれ別に記述されており、この期間に分村が成立したと考えられています。

近代に入ると行政区画の再編が進みます。明治22年（1889年）4月1日の町村制施行により、下長磯村は天川大島村など近隣の12村と合併し、南勢多郡木瀬村の一部となりました。その後、明治29年（1896年）4月1日には南勢多郡と東群馬郡が統合され勢多郡に属することになります。昭和32年（1957年）1月20日、勢多郡木瀬村は荒砥村と合併し城南村を形成しました。そして、同年10月10日、城南村の一部であった大字下長磯と小島田は前橋市に編入され、現在の前橋市下長磯町となりました。この前橋市への編入が、現在の下長磯町が成立した重要な歴史的節目となります。

交通面では、地域内に鉄道駅はありません。主要な道路としては、国道50号が地域を通過しており、自動車によるアクセスが中心となります。県道は下長磯町内を通っていません。

地域には、かつて村社であった下長磯稲荷神社があります。この神社は、毎年4月15日に拝殿で奉納される「式三番叟（しきさんばそう）」で広く知られています。この式三番は江戸時代中期に起源を持つとされ、地域に伝承されてきた貴重な民俗芸能です。その歴史的価値と文化的重要性が認められ、「下長磯の式三番」として国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選定されています。さらに、「下長磯あやつり式三番 附人形3個」として群馬県の指定重要無形文化財にも指定されており、地域の誇るべき伝統文化として保存・継承されています。

下長磯町は、古い歴史を持ち、江戸時代から前橋藩領として発展し、近代の行政区画を経て前橋市の一部となった地域です。桃ノ木川沿いの自然環境と、下長磯稲荷神社に伝わる伝統芸能「下長磯の式三番」が、この町の特色を形作っています。

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