下閉伊郡

下閉伊郡：鉄の産地から現代へ至る歴史と変遷

岩手県に位置する下閉伊郡は、豊かな自然と歴史に彩られた地域です。2024年11月1日現在、人口25,738人、面積1,481.02平方キロメートル、人口密度は17.4人/平方キロメートルと、比較的広大な面積に人がまばらに暮らす地域です。山田町、岩泉町、田野畑村、普代村の2町2村から構成されています。

歴史：鉄と牛の時代から現代へ

下閉伊郡の歴史は古く、江戸時代には鉄の産地として栄えていました。盛岡藩の支配下で盛んに行われた鉄の採掘と製鉄は、地域経済を支える重要な産業でした。当時生産された鉄は、牛を使って北上盆地へと運ばれていました。これは、馬が多く使われていた東日本においては珍しいことであり、下閉伊郡が牛の飼育が盛んな地域であったことを示しています。

明治時代に入ると、1897年（明治30年）に郡制の施行に伴い、北閉伊郡、中閉伊郡、東閉伊郡の一部を統合して下閉伊郡が誕生しました。当初は、現在の2町2村に加え宮古市の全域を含む広い範囲を管轄していました。郡役所は宮古町に置かれ、3町25村が所属していました。

その後、昭和初期にかけて、町村合併や市制施行などが繰り返され、郡の区域は次第に縮小していきました。特に昭和30年（1955年）と平成17年（2005年）、平成22年（2010年）には大規模な合併が行われ、多くの町村が宮古市に編入されました。これらの合併により、下閉伊郡は現在の2町2村の体制となりました。

町村の変遷：合併と統合の歴史

下閉伊郡の構成町村は、長い歴史の中で幾度も合併と統合を繰り返してきました。例えば、岩泉町は複数の村が合併して誕生し、山田町も同様に複数の村が合併して現在の町域となりました。これらの合併は、行政効率の向上や地域社会の活性化を目的として行われました。

以下は、下閉伊郡の町村の変遷を簡単にまとめたものです。詳細な情報は、各町村の歴史資料などを参照ください。

明治30年（1897年）： 郡制施行により下閉伊郡発足。
大正11年（1922年）： 岩泉村が町制施行し岩泉町となる。
昭和16年（1941年）： 宮古町などが合併し宮古市が発足し、郡から離脱。
昭和30年（1955年）： 大規模な町村合併が行われる。
昭和31年（1956年）： 岩泉町に複数の村が合併。
平成17年（2005年）： 田老町、新里村が宮古市に合併。
平成22年（2010年）： 川井村が宮古市に合併。

現代の下閉伊郡

現代の下閉伊郡は、2町2村の小さな郡ですが、豊かな自然と歴史、そして独特の文化を誇っています。それぞれの町村には、独自の特色があり、観光や産業においてもそれぞれが発展を遂げています。今後も、地域住民の努力によって、下閉伊郡は発展を続けていくことでしょう。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 3 岩手県、角川書店、1985年2月7日。ISBN 4040010302。

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