不思議 (アルバム)

アルバム『不思議』の詳細

中森明菜の待望の9枚目のスタジオ・アルバム『不思議』（ふしぎ）は、1986年8月11日にワーナー・パイオニアからリリースされました。この作品は、中森にとって初めてとなるセルフプロデュースアルバムであり、当時「明菜最大の問題作」と呼ばれました。

リリース情報

アルバム『不思議』は、アナログレコード、コンパクトカセット、CDの3つのフォーマットで同時に発売され、特にアナログ盤の初回プレスは20万枚にのぼりました。注目すべきは、B面に夜光塗料で描かれた「不思議」の文字が浮き上がる片面ピクチャー・レコード仕様が採用されている点です。香港盤ではジャケットに直接印刷され、レコード自体はクリア仕様となりました。

アルバムのジャケットには、中森がハワイで出会ったディゴドンという人形がモチーフとして用いられています。さらに、中森自身はこのアルバムのインスピレーションを、映画『エクソシスト』のサウンドトラックとして知られるマイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』に示唆されたと述べています。

レコーディングは数箇所のスタジオで行われ、楽曲にはシングルヒットは含まれていませんでした。プロデューサーの藤倉克己によれば、アルバム制作のアイデアは1985年の初頭に中森から提案されたとのことです。アレンジを担当したEUROXや他のミュージシャンたちは、この作品において重要な役割を果たしました。

音楽スタイルとコンセプト

『不思議』の音楽スタイルは、全曲にわたってヴォコーダー処理が施され、サウンドと中森のボーカルが一体化するような工夫がなされています。この独特なアプローチによって、リバーブ音が聴き手に届けられる形となっており、神秘的でありながらも刺激的な体験を提供しています。

アルバムのテーマは「声も楽器の一部である」というものであり、中森のアイデアが反映されています。このスタイルは、購入者から「ヴォーカルが聞き取りづらい」という意見が寄せられるなど、リリース当初から話題となりました。

パフォーマンスとプロモーション

アルバムのリリースに先立ち、1986年7月から全国コンサート・ツアー『LIGHT & SHADE』が始まり、ファンを盛り上げました。また、1987年にはフジテレビ系の音楽番組『夜のヒットスタジオDELUXE』に出演し、「Back door night」と「マリオネット」を披露しています。当初はアルバムのイメージを保つことが難しいとされ、出演が難航しましたが、スタッフの要望に応じて出演が決まり、特にセットや照明に十分に配慮した形で臨みました。

さらに、1988年には『不思議』から5曲を再録音したミニアルバム『Wonder』もリリースしました。リリースから2年経過しても、この作品は新たな形で聴かれることになります。

批評

アルバムに対する批評はさまざまですが、『CDジャーナル』は「初めて聴くと、何かが不足しているのかという疑問が浮かぶ」と表現しています。また、音楽ライターの馬飼野元宏は、パワフルな歌唱と心理描写に富んだ歌詞が見事に融合していると指摘しました。ホラー要素が感じられるアレンジも特徴的で、ファンからも高く評価されています。

成績

このアルバムは、オリコン週間LP& TAPESチャートで1986年8月25日に初登場し、最高順位は1位を記録しました。その後、3週連続で1位を獲得し、1986年のオリコン年間アルバムチャートでは15位にランクインしました。『不思議』という作品は、中森明菜のキャリアの中で重要な位置を占めていると言えるでしょう。

もう一度検索