不破関

不破関（ふわのせき）

不破関は、古代における東山道の重要な関所の一つであり、現在の岐阜県不破郡関ケ原町に所在します。この関所は、史跡として「不破関跡」または「美濃不破関跡」として知られています。

歴史の始まり

不破関の起源は、壬申の乱にまで遡ります。672年に起こったこの乱では、大海人皇子（後の天武天皇）が美濃国にいる舎人たちに命じ、兵士の徴発を行いました。その結果、安八麿郡の多臣品治が「不破道」を封鎖し、この戦いで大きな勝利を収めました。この事件は、後に不破関が設立される契機となったとされています。

関所の正式な設立は律令体制のもとで進められ、東海道の鈴鹿関や北陸道の愛発関と共に、「三関」として位置づけられました。不破関が設置されたのは8世紀初頭と見られ、考古学的な証拠からもその成立が示されています。

管理と機能

不破関は、軍防令の規定により兵士を配置し、交代で警備にあたることが求められました。特に、東山道における海岸間の交通を守るため、岐阜県の国司が管理を担当しました。関所の範囲は、1974年の調査により、藤古川の段丘崖を西側に、他の三方は土塁で囲まれた台形状であることが確認され、広さは約12.4ヘクタールとされています。2023年には、初期の政庁と考えられる8世紀前半の遺構が見つかりました。

関所の廃止

789年、突如として三関停廃の詔が出され、不破関はその役割を終えることとなりました。この際、兵器や食料は国府に集められ、関所の建物は他の施設に移築されました。しかし、停廃後も不破関の跡地からは灰釉陶器や山茶碗などの遺物が発掘され、何らかの活動が継続的に行われていたことが示唆されています。こうした中、幕末まで式典として「固関」という儀式が実施されており、特に721年には元明天皇の崩御に際してこの儀式が初めて行われました。

現在の不破関

現在の不破関跡は岐阜県不破郡関ケ原町松尾に位置しています。この場所は岐阜県および関ケ原町により指定された史跡であり、一部には不破関資料館も設置されています。この資料館では、発掘された和同開珎や陶器が展示されており、不破関の歴史や文化を学ぶことができます。

文化的な影響

不破関は、中世以降、多くの歌人たちに歌われてきました。その詩は、関所の風景や人々の記憶を後世に伝えています。たとえば、藤原良経の「人住まぬ 不破の関屋の 板庇（びさし）」や、松尾芭蕉の「秋風や 藪も畠も 不破の関」などが挙げられます。これらの作品は、不破関が持つ文化的な価値を物語っており、関所が単なる交通の要所であっただけでなく、人々の心に残る場所であったことを示しています。

不破関の歴史を通じて、古代日本の交通や文化に与えた影響について理解を深めることができます。

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