固関

固関（こげん）について

固関とは、律令制が施行されていた歴史的な日本において、特定の非常事態が発生した際に実施された通行制限のことを指します。この制度は、天皇や上皇、皇后の崩御、天皇の譲位、さらには摂関の薨去や政変など、重大な出来事が発生する際に適用されました。特に「三関」と呼ばれる伊勢国の鈴鹿関、美濃国の不破関、越前国の愛発関、及び近江国の逢坂関が封鎖され、通行を禁じる措置が取りられました。この封鎖を解除することを「開関」といい、これに対する手続きが存在しました。

固関を実施する目的は、主に権力の空白を利用した反乱軍の襲来や、反対に畿内から東国への反逆者の逃亡を防ぐことでした。固関が行われる際には「固関使」という使者が関所に赴き、この封鎖を命じるもので、解除の際には「開関使」が同様の手続きを行いました。

固関使の役割と手続き

固関使は通常、五位の官人が選ばれ、そこには内舎人や近衛府の兵士が護衛として随行しました。固関使が出発する際には、大臣からの証明となる木契や、固関を命じる勅符、官符が授けられます。これらの準備が整うと、鈴の音を鳴らしながら出発の儀式を行うのです。開関使も同様の手続きが必要とされました。

歴史的背景

固関の最初の記録は、養老5年（721年）に元明上皇が崩御した際に見ることができます。この時期以降、延暦8年（789年）には「三関」の制度そのものが廃止されましたが、それでも固関が求められる状況では、関所の跡地を封鎖する手続きが取り続けられました。

ただし、封鎖対象の三関が存在しなかったため、固関の実施も形骸化し、儀礼的な意味合いが強くなっていきました。中世以降も形式的に固関の手続きが行われることがあり、近世以前の最後の譲位にあたる光格[[天皇]]の時にも固関が実施されています。

このように、固関は律令制下の日本において、一定の政治的状況に対処するための重要な制度だったのです。歴史の中でその機能は変化しつつも、時代の変化にも対応する形で、その儀礼的な意義を残し続けました。

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