三関

三関の概要

三関（さんげん、さんかん）とは、古代日本において特に重要視された3つの関所の総称です。これは、畿内地域に設置され、後に「三国之関」とも呼ばれるようになりました。当初は不破関（現在の岐阜県）、鈴鹿関（三重県）、愛発関（福井県）の3つでしたが、9世紀初頭には逢坂関（滋賀県）が愛発関の代わりに加わりました。これらの関所が所在する律令国は「三関国」と名付けられました。

三関の役割

古代日本では、三関は天皇の交代や政情不安の際に交通を遮断するために厳重に管理されていました。関所には軍器が常に備えられており、複数の国司や四等官が常駐することが義務付けられていました。これらの官職は「城主」とも呼ばれ、非常事態に備えてその役割を果たしていました。

非常事態が起こると、朝廷は三関に「固関使」を派遣し、蔵司が保管する割符（関契）の左符を固関使に授与します。この左符と三関で国守が保管する右符とを照合し、一致することが確認されると、関所を閉ざす手続きが行われ、これを「固関」と称しました。逆に非常事態が収束した際の開関手続きも同様です。このように、三関の閉鎖は特に中央での非常事態に際して、東国から畿内への侵入を防ぐための重要な手段でした。実際、天平宝字8年（764年）に発生した藤原仲麻呂の乱では、愛発関の閉鎖によって仲麻呂が逃亡するのを阻止しました。

歴史的背景

三関の設置時期は天武[[天皇]]元年（672年）または同2年（673年）と考えられています。壬申の乱の際、大海人皇子（のちの天武[[天皇]]）が不破道を封鎖し、戦において優位を獲得しました。この経験を反映し、8世紀初頭の大宝令にあたる法令によって三関の防衛や警察機能が法的に位置づけられました。また、和銅年間には、勅命によって関所ごとに武官が配置されることもありました。

722年1月2日、元明太上天皇の崩御に際して初めて固関が行われ、その後も天皇や元上天皇の病気、崩御、さらには数々の争乱の際にこの手続きが実施されました。平安京への遷都の準備が進んでいた789年8月13日、桓武天皇の指示により、不破関、鈴鹿関、愛発関は突然に停廃され、兵器などは国府に移されました。それでも、完全には機能を失わず、三関はなお重要な役割を果たしていました。

806年に桓武天皇が崩御した際や、810年の平城上皇による奈良還都の野望の際には、三関の固守が命じられました。この時、愛発関ではなく、相坂関が選ばれた理由も地域的な要因があったと考えられます。その後も固関が実施された事例は『六国史』に記録され続け、平安時代中期以降、固関は儀式的な行為へと変化していきました。それでも、江戸時代後期である天保年間までその形式が続けられたことは興味深い事実です。

関連項目

• - 不破関
• - 鈴鹿関
• - 逢坂関
• - 愛発関

文献

• - 日本歴史地名大系（オンライン版） 小学館

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