不謹慎ゲーム

不謹慎ゲームとは

不謹慎ゲームとは、社会的に大きな注目を集めた事件や事故をネタにして作られるコンピュータゲームの総称です。これらのゲームは、往々にしてその出来事や被害者を茶化すことを主な目的としており、強い批判を浴びることが少なくありません。

概要

不謹慎ゲームは、その性質上、インターネット上で話題になることが多いですが、多くの場合、批判的な意見が優勢です。事件や事故を軽視する行為として、倫理的に問題視されるのが主な理由です。ただし、事件の中心となった人物への「社会的制裁」の意味合いが強い場合や、製作者が事件の風化を防ぐ目的を公表している場合には、一定の理解を示す意見も見られます。

ネタとなる事件は、重大なものに限らず、例えば「寝ているホームレスに生卵をぶつけた動画」のような、社会的に問題視された行為も含まれます。ただし、この例のように、後にやらせだったと判明することもあります。

歴史

不謹慎ゲームの歴史は古く、1995年には地下鉄サリン事件を題材にした『霞ヶ関』というゲームがパソコン通信にアップロードされました。このゲームは、「可能な限り大きな被害を出す」という過激な内容から、当時のパソコン通信ネットワーク内で削除される事態も起きました。事件の社会的な影響の大きさとゲーム内容の過激さから、『霞ヶ関』は不謹慎ゲームの中でも特に有名な作品として知られています。

2015年には、アメリカ同時多発テロ事件を題材にした『8:46』というゲームが発表されました。これは、事件を茶化す目的ではなく、宗教的なメッセージも含まれていないため、厳密には不謹慎ゲームとは言えませんが、一部からは「不謹慎だ」という批判も出ています。

2009年には、各宗教の開祖をキャラクターとして登場させる格闘ゲーム『Faith Fighter』が発表されました。このゲームは、宗教関係者からの強い反発を招きました。

2011年には、東京電力をモチーフにしたと思われる電力会社の社員を殺害していくブラウザゲーム『ファイナル・ブレイカー（FINAL BREAKER）』が公開されました。このゲームも批判が殺到し、すぐに閉鎖されました。

2020年には、COVID-19の世界的な感染拡大を受けて、感染症を世界に広げるシミュレーションゲーム『Plague Inc.』が中国のアプリストアから一時的に削除されました。これは、ゲームの目標が感染症の拡大であり、不謹慎とみなされたためです。その後、開発会社は、感染症から世界を救う新しいモードを追加し、新型コロナウイルスが収束するまで無料で提供すると発表しました。

関連する概念

不謹慎ゲームは、ブラックジョークや社会風刺の一環として捉えられることもあります。また、社会的な事件や事故を題材にした面白画像やジョークプログラムも、不謹慎ゲームと共通する要素を持っていると言えるでしょう。

参考資料

ばるぼら『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』翔泳社、2005年5月10日
梅宮タカコ「サリン、トンネル崩落、酒鬼薔薇。人の不幸が一番楽しい!?」『インターネット秘宝館』＜別冊宝島353＞宝島社、1997年12月14日
クランツ（編）『封印ゲーム大全』アスペクト、2007年
「ゲーマー=犯罪者!?あのアキバ通り魔を予言したゲームがあった!-残虐ゲー&不謹慎ゲーの実態、頑固親父が斬る“けしからん”ゲーム」『ゲームラボ』2008年9月号、三才ブックス。

関連項目

ブラックジョーク
面白画像
クソゲー
バカゲー
カジュアルゲーム
ジョークプログラム
有害図書
図書規制法
検閲
自主規制
コンピュータゲームのレイティングシステム
残虐ゲーム
炎上マーケティング
自粛警察

もう一度検索