世界で初のクイズ!AとBとショー

『世界で初のクイズ!AとBとショー』（せかいではつのクイズエーとビーとショー）は、1980年 1月2日、TBS系列で正月特別番組として視聴者に届けられた単発のクイズバラエティ番組である。正式な番組名は『新春人気スター大競演世界で初のクイズ!AとBとショー』（しんしゅんにんきスターだいきょうえん - ）と銘打たれ、当時の人気芸能人たちが多数出演し、華やかな新年の始まりを彩った。

番組概要

この番組の最大の特徴は、そのユニークで斬新なクイズ形式にあった。司会者から読み上げられる問題に対して、出場者である芸能人たちは、自身の手元にある「A札」と「B札」のいずれか一方を選択する。単に札を選ぶだけでなく、選んだ札の裏面に記された内容を読み上げることで解答とするという、当時としては極めて新しい試みが取り入れられていた。

さらに、クイズパートに加えて、問題に関連した趣向を凝らしたショーパフォーマンスが番組の中に巧みに組み込まれていた点も特筆される。クイズの回答が単なる正誤判定にとどまらず、視覚的・エンターテイメント的な要素と結びつくことで、より番組全体が盛り上がるように工夫されていたのである。

企画・制作はTBSの人気番組『クイズ100人に聞きました』を手がけたスタッフチームが担当した。『100人に聞きました』が米国の番組『ファミリー・フュード』を参考にしていたのに対し、本番組はタイトル通り、日本で独自に考案された純国産のクイズ企画として制作された点が特徴的だった。

放送データ

この特別番組は、1980年 1月2日の水曜日、午後2時から午後3時55分までの時間帯（日本標準時、JST）に放送された。当時のTBSの正月特別番組枠における主要なラインナップの一つとして位置づけられていた。

出演者

番組を進行する司会は、当時多くのクイズ番組で活躍していた関口宏が務めた。落ち着いた語り口と的確な進行で、ユニークなクイズ形式を円滑に進めた。ナレーターは橋本テツヤが担当し、番組に深みと彩りを加えた。

そして、出場者として名を連ねたのは、当時の日本の芸能界を代表する人気スターたちであった。主な出場者としては、歌手として絶頂期にあった山口百恵、ワイルドな魅力でファンを惹きつけた西城秀樹、歌謡界のトップランナーであった野口五郎、そして明るいキャラクターで親しまれた榊原郁恵など、錚々たる顔ぶれが集結した。これ以外にも多くの芸能人が参加し、番組を盛り上げた。

その後の展開

しかし、この番組は正月特別番組としての単発放送に終わり、レギュラー化されることはなかった。ユニークなクイズ形式やショーとの融合は評価されつつも、テレビ番組として定着するには至らなかったのである。その後、この「A札・B札」を使った形式は、一部のTBS系バラエティ番組でコーナー企画として短期間扱われたことがあるものの、1980年代後半以降はこうした企画自体が姿を消し、再び放送されることはなかった。

関連企画

この『世界で初のクイズ!AとBとショー』に類似した形式の企画は、後年のTBSの番組内で散見された。

たのきん全力投球!: アイドルグループ「たのきんトリオ」の冠番組。番組内の一コーナーとして、「たのきんクイズ・アヒルとタヌキ」という企画が放送されたことがある。ここでは解答用の札が「アヒル札」と「タヌキ札」に変更されていたが、基本的な形式は類似していたとされる。
TVジョーカーズ笑: 番組のエンディング近くで、司会のタモリと中原理恵が『AとBとショー』と同様の札を使ったクイズ形式のやり取りを行う場面があったとされている。

これらの関連企画は、この番組のアイデアが当時のテレビ制作において一定の影響を与えていたことを示唆しているのかもしれない。

出典:

1980年1月1日付「東京新聞」テレビ欄
1980年 1月2日付「東京新聞」テレビ欄

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