世界医師会

世界医師会 (World Medical Association, WMA)

世界医師会は、114の国や地域に所属する医師会が加盟する国際的な非政府組織です。1947年にフランスのパリで設立され、医療に関する国際的な水準の向上やすべての人々のヘルスケアの実現を目指して活動しています。本部はフランスのアン県フェルネ＝ヴォルテールに位置しています。

設立の背景

1947年9月17日に開催された第1回総会では、27カ国からの医師たちが集まりました。この会議を起点として設立された世界医師会は、医の倫理や医療教育、更には医療技術の国際的水準を引き上げることを目的に活動しています。2020年の時点で、115の国・地域の医師会が加盟しており、毎年、春と秋に中間理事会や総会を開催しています。これらの会議では、医療倫理や社会医学に関する重要なテーマを議論しています。これまでにも、ジュネーブ宣言やヘルシンキ宣言など、数多くの政策文書が半世紀以上の活動の中で採択され、公開されています。

ガバナンス

世界医師会の主要な決定は、各国医師会の代表や役員、会員医師から構成される総会で行われます。この総会は毎年開催され、各国地域の代表が議論に参加します。特に2018年の総会では、カナダ医師会の会長が過去の演説内容を盗用したとして問題となり、その結果カナダ医師会は脱退を表明しました。このような事例は、ガバナンスの透明性や倫理性が問われる重要な出来事となりました。

総会では、地域ごとの代表や名誉会長を選出し、WMAの政策決定を行う議長も選ばれます。議長は2年間の任期を持ち、名誉会長会のメンバーはその職に就くことはできません。また、事務総長が選ばれ、日常の運営や活動を監督します。

日本医師会との関係

日本医師会は1951年に世界医師会に加盟しました。1975年には、東京で「医療資源の開発と配分」をテーマに第29回世界医師会の総会を開催しました。さらに2004年には、「先端医療と医の倫理」や「ITの進歩と医療」をテーマに再度東京で総会を行っています。日本医師会からはこれまでに複数の会長が選出されており、国際的な医療問題において重要な役割を果たしています。

主な宣言

世界医師会は様々な倫理に関する声明も発表しています。特にタバコに関する健康障害への警鐘や、遠隔医療、さらには移植用ヒト組織に関する倫理声明など、医療分野における重要な指針を提供しています。これらの声明は、医療倫理の確立や健康政策の改善に寄与することを目指しています。

まとめ

世界医師会は、国際的な医療の水準向上と倫理的な医療実践を推進する重要な組織です。その活動は、各国の医師会や医療従事者にとって、より良い医療の提供に向けた指針となっています。

もう一度検索