世界谷地原生花園

世界谷地原生花園（せかいやちげんせいかえん）

概要

世界谷地原生花園は、宮城県北部、緑豊かな栗駒山の南麓に位置する広大な湿原地帯です。「世界谷地」という名称は、文字通り「広い湿原」を意味しており、その広がりと自然の豊かさから、本州を代表する尾瀬にも匹敵すると評されるほど、東北地方では随一、日本国内でも有数の湿原として知られています。

この湿原は、標高によって上段、中段、下段の三段階に分かれており、さらに四つの大きなグループと、その内部にある大小合わせて八つの湿原が集まって形成されています。それぞれの湿原の間には、幅約50メートルにも及ぶ壮麗なブナの原生林が生い茂り、湿原と森が織りなす独特の景観を作り出しています。その総面積は、およそ東京ドーム3個分にも相当する広大さで、多種多様な動植物にとって貴重な生息・生育環境となっています。

世界谷地原生花園の大きな魅力の一つは、季節ごとに姿を変える美しい高山植物たちの姿です。例年、雪解けが進む5月上旬には、清らかな白い花を咲かせるミズバショウが見頃を迎えます。続いて6月上旬には、風に揺れる綿毛のような実が特徴のワタスゲが一面に広がり、湿原を白い絨毯のように彩ります。そして、6月中旬からは、オレンジ色の鮮やかな花を咲かせるニッコウキスゲが咲き始めます。特にニッコウキスゲは、栗原市の花にも制定されており、その大群生は全国的にも非常に有名で、開花時期には湿原全体がまばゆいオレンジ色に染まります。

湿原内を散策するための遊歩道は、その大部分が木道として整備されており、湿原の繊細な植生に配慮しつつ、比較的容易に奥深くまで進むことができます。標準的なルートは、スタート地点にある駐車場から始まり、比較的花が多く見られる世界谷地第一湿原、樹木が鬱蒼と茂る世界谷地第二湿原を経て、大地森、虚空蔵山、そして栗駒山へと続いていきます。特に、第一湿原や第二湿原は駐車場から徒歩約15分とアクセスしやすく、短時間でも湿原の雰囲気を楽しむことができます。

交通・アクセス

世界谷地原生花園への主なアクセス手段は、自家用車またはレンタカーとなります。冬期間は、周辺道路の積雪や凍結により通行が困難となるため、原則として閉園となりますのでご注意ください。

所在地
宮城県栗原市栗駒沼倉耕英南163

駐車場
普通車：約60台
大型バス：約10台

マイカー利用の場合
東北自動車道 若柳金成ICより車で約50分
東北自動車道 築館ICより車で約55分

公共交通機関利用の場合
JRくりこま高原駅よりタクシーまたはレンタカーで約55分

関連情報

栗駒国定公園の一部に含まれます。
* 近年、観光客の増加に伴う環境負荷（オーバーツーリズム）についても議論されることがあります。

（掲載情報は2024年現在のものです）

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