世界鉄道博

世界鉄道博：世界の鉄道模型が織りなす、夢の鉄道空間

2016年7月16日から9月11日にかけて、横浜のパシフィコ横浜にて開催された『世界鉄道博』は、読売新聞社とBS日テレ主催の大規模な鉄道模型展示イベントでした。このイベントは、原鉄道模型博物館の全面協力のもと、故原信太郎氏が生涯をかけて収集・製作した膨大な鉄道模型コレクションを軸に構成され、世界各国の鉄道の魅力を広く伝えることを目的としていました。

イベント開催に先立ち行われた内覧会では、原信太郎氏の次男が挨拶に立ち、父親が生前、様々な国の機関車や客車を連結させて走らせることで世界平和を願っていたというエピソードを披露しました。この言葉は、本イベントの根底にある、国境を越えた友好と平和への願いを象徴的に表しています。

展示ゾーン：多様な魅力が凝縮された空間

世界鉄道博は、大きく分けて4つのゾーンで構成されていました。各ゾーンはそれぞれ異なる魅力を持ち、来場者を楽しませました。

ZONE-1：世界の鉄道模型コレクション

このゾーンでは、原信太郎氏の6000両にも及ぶコレクションの中から、厳選された1150両のHOゲージ鉄道模型が展示されました。これらは国別に分類されていましたが、個々の車両に関するキャプションは省略されており、来場者は模型そのものの細部やデザインから、それぞれの国の鉄道文化を自由に想像し楽しむことができました。未公開の貴重な模型も多く含まれており、鉄道模型ファンにとって垂涎の展示となりました。

ZONE-2：世界の鉄道物語

ヨーロッパ、アメリカ、日本の3つのエリアに分けられたこのゾーンでは、各地域の鉄道の歴史が写真パネルによって紹介されました。さらに、Oゲージの鉄道模型レイアウトが設置され、実際に車両が走行する様子を間近で観察することができました。歴史と模型の融合によって、より深く各地域の鉄道文化に触れることができたでしょう。

ZONE-3：シャングリ・ラ鉄道

原信太郎氏が1937年に自宅で「創設」したという、夢の鉄道模型レイアウト「シャングリ・ラ鉄道」を再現したゾーンです。約30メートル×約10メートルの広大な空間に、28線同時走行可能なHOゲージレイアウトが構築され、総延長約650メートルの線路を、世界各国の560両（うち外国型160両）もの鉄道模型が駆け巡りました。同時に260両もの車両が走行可能で、その壮大なスケールは来場者を圧倒したはずです。長大なレイアウトのため、随所に給電設備が設置され、安定した走行を確保していました。このゾーンの奥には、神奈川県内の鉄道会社の展示コーナーも設けられていました。

ZONE-4：鉄道ワンダーランド

新幹線（ドクターイエローとH5系）の運転体験コーナーや、来場者が描いた絵がスクリーンを走るアトラクション、きかんしゃトーマスの大型模型展示など、親子で楽しめるアトラクションが充実していました。鉄道模型への興味を育む絶好の機会となりました。

物販コーナーと入場サービス

イベント会場には、鉄道関連グッズを豊富に取り揃えた物販コーナーも設置されました。低年齢層向けのグッズが中心でしたが、鉄道むすめシリーズやNゲージ鉄道模型なども販売され、幅広い層の来場者のニーズに応えていました。

入場サービスとして、名前におトク（「は」「ま」「て」「つ」を含む名前の来場者への割引）や、浴衣・甚平割引、そして原鉄道模型博物館や横浜市営地下鉄、横浜ランドマークタワー展望台とのセット券販売など、来場者にとって魅力的な特典が提供されていました。さらに、原鉄道模型博物館、カップヌードルミュージアム、横浜美術館、三菱みなとみらい技術館との相互半券サービスもありました。

世界鉄道博は、原信太郎氏の情熱と、多くの関係者の協力によって実現した、忘れられない鉄道イベントでした。単なる展示会にとどまらず、世界平和への願いが込められた、感動的な体験を提供したと言えるでしょう。

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