Nゲージ

Nゲージ鉄道模型の世界

はじめに

Nゲージとは、9mmのレール間隔と1/148～1/160の縮尺を持つ鉄道模型規格の総称です。世界的に見るとHOゲージが主流ですが、日本ではNゲージが圧倒的な人気を誇ります。そのコンパクトさ、豊富な製品、そして手軽に始められることから、多くの愛好家に親しまれています。本稿では、Nゲージの魅力を様々な角度から深掘りしていきます。

Nゲージの規格と名称

Nゲージの軌間は9mmで、縮尺は地域によって異なります。日本では1/150が標準ですが、新幹線は1/160を採用しています。ヨーロッパやアメリカでは1/160、イギリスでは1/148が一般的です。

「N」の由来は、英語のNine（ナイン）、ドイツ語のNeun（ノイン）、フランス語のNeuf（ヌフ）など、9を表すヨーロッパ言語が「N」から始まることに由来します。1970年代には日本で一般的になり、現在では広く認知されています。

Nゲージの仕組み

Nゲージ車両は、多くの場合、直流2線式で走行します。12ボルトの直流電圧をレールに流し、車輪を介して集電、モーターを駆動させます。速度調整は電圧を制御し、進行方向はレールの極性を切り替えることで変更します。標準では右レールが正極で前進です。

家庭用電源（交流100V）を降圧・整流するパワーパックなどの制御機器が必須です。世界各メーカーが標準規格を採用しているため、異なるメーカーの車両や線路も互換性があります。

近年では、デジタルコマンドコントロール（DCC）方式も普及しつつあります。この方式はデジタル信号で個々の車両を制御し、速度やライト、サウンドを独立して制御できます。電圧が一定なので、ライトの明るさは速度に影響されません。

Nゲージの魅力

Nゲージ最大の利点は、そのコンパクトさです。半径280mmのカーブを走行できる車両が多く、1畳程度のスペースで十分楽しむことができます。レイアウト製作も容易で、多くのガイドブックや材料も入手可能です。

日本市場では、製品数が豊富で価格も比較的安価です。これは欧米とは対照的です。

Nゲージの製品

車両、線路、制御機器、ストラクチャー（建物）、アクセサリー（車、人形など）、シーナリー用品（木、草など）など、多様な製品が市場に流通しています。総合メーカーとして、カトー（関水金属）とトミックス（トミーテック）が有名です。

初心者向けには、車両、線路、電源装置がセットになったスターターセットも販売されています。

Nゲージの車両

塗装済み完成品が主流で、ABS樹脂などのプラスチック製です。一部製品では、細かいパーツを自分で取り付ける必要があります。前照灯や尾灯、室内灯が点灯する製品も多いです。プラモデルキットや金属製キット・完成品もあります。

Nゲージの線路

線路は、「道床なし線路」と「道床つき線路」に分けられます。道床つき線路の方が安定性に優れています。「組み立て式線路」と「フレキシブル線路」もあり、用途に応じて使い分けられます。日本では道床つき組み立て式が一般的です。

Nゲージの制御機器

パワーパック、パワーユニット、トランス、コントローラーなどと呼ばれ、家庭用電源を12ボルトの直流に変換します。価格帯も豊富で、実物運転台を模した製品もあります。DCC対応機器も増えています。

Nゲージのストラクチャー、アクセサリー、シーナリー用品

ストラクチャーは建物を、アクセサリーは車両以外の模型製品を、シーナリー用品はレイアウト製作に使う地形や植生を表現する部材を指します。様々な素材やメーカーの製品があります。

Nゲージの楽しみ方

Nゲージの楽しみ方は多様です。

運転を楽しむ: 小さなスペースで手軽に運転できます。「お座敷運転」やレンタルレイアウトもあります。近年では、カメラを搭載した車両で運転を楽しむこともできます。
車両を収集する: 日本型車両だけでも膨大な種類があります。好きなテーマを決めて集めるのが一般的です。
車両工作を楽しむ: 細密化加工、改造、スクラッチビルドなどがあります。
レイアウト・ジオラマを製作する: 情景模型の製作は、Nゲージの大きな魅力の一つです。モジュールレイアウトなどもあります。
* その他: イベント参加、運転会、交換会などがあります。

Nゲージの歴史

Nゲージと同程度の大きさの模型は、1912年にドイツで登場しました。しかし、現在のNゲージ規格が確立されたのは1960年代です。イギリスのローンスター、西ドイツのアーノルトなどが初期のパイオニアです。

日本では1965年に関水金属が本格的に製品化を始めました。1/150縮尺が標準となり、その後、多くのメーカーが参入し、1970年代にはブームとなりました。

ブーム後には、メーカーの淘汰や再編がありましたが、カトーとトミックスが2大ブランドとして現在に至っています。近年では、食玩形式のコレクションモデルなども人気を集めています。

ナローゲージと関連規格

ナローゲージは、実物の狭軌鉄道を模型化したものです。Nゲージよりも狭い軌間（6.5mmなど）を使用します。OOOゲージは、かつて9mmゲージの製品全般を指す用語として使われていました。2mmスケール（1/152）、9.5mmゲージなども存在します。

主なNゲージメーカー

日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、香港、台湾、中国など、世界各国に多くのNゲージメーカーが存在します。

まとめ

Nゲージは、手軽に始められるのに奥が深く、長く楽しめる趣味です。この記事が、Nゲージの世界を知るきっかけになれば幸いです。

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