世良正利

世良 正利（せら まさとし）

日本の心理学者（1918年2月8日 - 2008年7月31日）。専門は人格心理学および社会心理学であり、ソビエト心理学の研究や、日本人論に関する考察でも知られます。

経歴

世良正利は、1918年に広島県に生まれました。東京帝国大学文学部心理学科で学び、1942年に卒業。

卒業後は、戦時中の海軍技術研究所に勤務し、その後は東京女子経済専門学校で教鞭を執りました。

戦後、中央大学文学部に着任し、助教授、そして教授として長年にわたり教育と研究に携わりました。1979年度から1984年度にかけては、中央大学人文科学研究所長を務め、大学の研究機関の運営にも貢献。

1989年に中央大学を定年退任し、名誉教授の称号を授与されました。2008年7月31日に逝去。

研究内容と業績

世良正利の研究は、多岐にわたりましたが、特に日本人の心理や行動様式に関する考察に力を注ぎました。代表的な研究テーマとして、日本人の「笑い」や「パーソナリティ」、「心」といった側面から、その特性や文化的な背景を分析。これらの研究成果は、『日本人の笑い』や『日本人のパーソナリティ』、『日本人の心』といった著作として結実し、広く読まれました。

また、ソビエト心理学の研究も早くから行い、その知見を日本の心理学界に紹介する役割も担いました。翻訳書を出版するなど、異文化圏の心理学研究を日本に導入することにも貢献しています。

中央大学での長年の教育活動を通じて、多くの後進を育成し、日本の心理学の発展に寄与しました。

主な著作

『人間とは何か 心理学的考察』學藝書房、1955年
『日本人の笑い』法政大学出版局、1959年
『はだかの日本人 笑いのそこにひそむもの』講談社〈ミリオン・ブックス〉、1960年
『日本人のパーソナリティ』紀伊国屋書店〈紀伊国屋新書〉、1963年
『日本人の心』日本放送出版協会〈NHKブックス〉、1965年
『人はどこまで変われる? ―性格心理(秘)ガイド 秘密のあなたを見つけ出す、ココロの法則』青春出版社〈青春best文庫〉、1994年

主な共編著

乾孝 共著 『一般心理学』巌松堂書店、1951年
永丘智郎、津久井佐喜男 共編 『人間性序説―心理学の諸問題』學藝書房、1954年
津久井佐喜男、滝沢武久 共編 『現代心理学ハンドブック』學藝書房、1959年
安川定男、長田光展、武藤脩二、前野光弘、田野崎昭夫 共著 『中央大学100周年記念論文集 文学部』中央大学、1985年
田野崎昭夫、竹村祥子、渡辺友左、加藤正泰、奥田泰弘 共著 『民衆文化の構成と展開―遠野物語から民衆的イベントへ』中央大学出版部、1989年

主な翻訳

編著、牧山啓、木内淳吾 共訳 『心理学とは何か ソヴエト心理学はこれをどうみているか』學藝書房、1955年
木内淳吾、坂本市郎、松野豊 共訳 『人間・文化・民族の心理 現代ソビトエ心理学論集』三友社、1972年

主な論文

「社會科とその參考書、コレクション」『生活學校』第3巻6号、1948年
「學習指導要領社會科篇批判」『生活學校』第3巻6号、1948年
「日本人の「廻れ右」―ルース・ベネデイクトの『菊と刀』に関連して」『現代心理』第1号、1949年
「演劇教育の立場からとらえた人格心理学の諸問題」『机』第7巻7号、1956年
「笑い」『机』第8巻1号、1957年
「演劇教育の心理学的基礎」『中央大学文学部紀要』第8号、1957年
「人間行動の基礎理論」『中央大学文学部紀要』第22号、1961年
「言語的手段による心理療法 (特集 話しことばの類型)」『言語生活』第122号、1961年
「笑いとは何か」『理想』第351号、1962年
牛島義友と共著「討論の概要 (日本教育心理学会第4回総会部門別研究発表要旨・討論の概要 8. 人格 (3))」『教育心理学年報』第2巻、1963年
「築島謙三 文化心理学基礎論、勁草書房(1962)」『教育心理学研究』第11巻2号、1963年
「心理とイデオロギー」『理想』第373号、1964年
「日本人の立身出世主義と権威主義」『児童心理』第22巻2号、1968年
「日本語と日本人の発想法」『言語生活』第231号、1970年
「日本人の優越感・劣等感」『児童心理』第26巻9号、1972年
内藤耕次郎、城戸幡太郎、西平直喜、松村康平と共著「教育心理学における方法としての弁証法」『教育心理学年報』第12巻、1973年
「社会主義国を中心として・社会心理学の国際的展望 人間と社会の未来を予測するために（シンポジウム）第2部社会心理学の国際的意義」『年報社会心理学』第14号、1973年
「日本人の帰属意識―「不分離性の原理」の理論からの考察」『中央大学経済研究所年報』第8号、1977年
「日本人論再考に寄せて」『こころの健康』第5巻1号、1990年

もう一度検索