丘沈

丘沈（きゅう しん）

丘沈（生没年不詳）は、中国の西晋末期に発生した民衆叛乱の指導者として知られています。

生涯

元々は山都（現在の河南省鄧州市構林鎮）の県吏でした。太安2年（303年）、西晋の新野王であった司馬歆（しば きん）の過酷な施政に対する民衆の不満が高まり、人々の心は離れていきました。さらに、益州（現在の四川省）で李流（り りゅう）が起こした反乱を討伐するための軍事行動が計画され、これに反発した民衆が逃亡する事態が発生しました。

この混乱に乗じて、張昌（ちょうしょう）が挙兵を計画します。張昌は、民衆の不満の受け皿として、丘沈を反乱軍の象徴として祭り上げました。丘沈は張昌によって「劉尼（りゅう じ）」と改名させられ、漢朝の後裔を自称し、皇帝を名乗るように仕向けられました。そして、元号を神鳳（しんぽう）と定めました。

しかし、丘沈は名ばかりの皇帝であり、政権の実権は全て張昌が掌握していました。丘沈は張昌の傀儡に過ぎなかったのです。同年、張昌は晋の将軍である陶侃（とうかん）の軍勢に敗北し、翌永安元年（304年）には晋軍に捕らえられ、惨殺されました。

丘沈のその後については、記録が残っておらず、消息は不明です。反乱の象徴として担ぎ出された丘沈は、動乱の時代に翻弄された人物の一人と言えるでしょう。

丘沈の生涯は、西晋末期の社会情勢、地方官の圧政、そして民衆の不満が複雑に絡み合った時代背景を反映しています。彼の存在は、当時の社会矛盾を象徴するものとして、歴史に刻まれています。

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