丙型海防艦

丙型海防艦の概要

丙型海防艦（へいがたかいぼうかん）は、日本海軍が第二次世界大戦中に活動した海防艦の一タイプで、他の艦級に比べて小型で簡易なデザインが特徴です。この艦級は、より大量に生産することが求められた背景から、日振型や鵜来型よりもさらなる簡略化が図られました。公式の設計番号はE21bです。

背景

日本海軍は、戦争の後半に差し掛かる中で、護衛艦의数を増やす必要がありました。艦艇の設計は1943年3月頃から開始され、量産性を意識した小型艦が重視されることとなりました。丙型海防艦は、艦本式23号乙型ディーゼルエンジンを二基搭載し、その合計出力は1,900馬力で、最高速度16.5ノットに達しました。居住性は小型化の影響で低下したものの、対潜兵装は充実しており、爆雷は120個搭載可能でした。

建造と運用

丙型海防艦は、三菱重工業や日本鋼管などで建造され、艦政本部の監督のもとで進められました。特に日本鋼管は、艦政本部からの注文に応じて多くの船を建造し、艦艇造船の品質と生産能力を向上させました。一番艦の起工は1943年9月で、1944年2月に完成しました。この艦級では、合計で133隻の建造計画が立案されたものの、最終的には56隻が完成しました。戦争中には26隻が喪失し、戦後には3隻が復員輸送用に完成しました。これらの艦はそれぞれ、特別輸送艦や掃海艦として運用されました。

軍事的成果

丙型海防艦の艦艇は、対米戦でいくつかの戦果を上げています。1944年10月30日には、都井岬沖で海防艦第29号、第33号、第22号がアメリカの潜水艦サーモンに損傷を与えることに成功しました。11月8日には、ミンドロ島沖で海防艦第19号がアメリカの潜水艦グロウラーを撃沈したと推測されています。1945年には、南西諸島沖で海防艦第33号と第59号がアメリカの潜水艦トリガーを沈めたとされています。さらに、富山湾では海防艦第63号、第75号などがアメリカの潜水艦ボーンフィッシュを撃沈しました。これらの戦果は、艦が果たした重要な任務の一部を示しています。

戦後の状況

戦後、丙型海防艦に属する艦艇は復員輸送の任務を受けたり、掃海作業に従事しました。それぞれの艦は「海第何号」と改称され、変わった任務に従事しました。また、戦後に建造された艦艇の中には、中華民国やソ連に引き渡され、再び海軍に従事するものもありました。

まとめ

丙型海防艦は、数量的にも質的にも注目される艦級であり、第二次世界大戦における日本海軍の艦船の一翼を担い続けました。海防艦としての任務を果たしながら、多くの艦艇が実際に戦闘に投入され、その中でいくつもの功績を上げました。丙型海防艦は、日本海軍の艦艇の中での役割を象徴的に表す艦級といえるでしょう。

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