両洋艦隊法

両洋艦隊法について

両洋艦隊法（りょうようかんたいほう）は、1940年7月に成立したアメリカ合衆国の法令で、第二次世界大戦の深刻な影響を受けて、アメリカ海軍の力量を強化することを目的としています。この法律は、アメリカ海軍作戦部長のハロルド・スタークによる提案を基にしており、海軍の第四次拡張計画、いわゆるスタークスプランの実現を後押しするために制定されました。

背景

この法令が立案された背景には、1939年に勃発した第二次世界大戦と、1940年6月にドイツ軍がパリを占領した事実があります。これにより、アメリカは対外的な脅威を感じ、海軍のさらなる拡張が必要であるとの認識が高まりました。特に、大西洋と太平洋の両方の戦域で、ドイツと日本に対抗するための強力な海軍が求められていたのです。

主な内容

両洋艦隊法では、莫大な予算をもとに、数多くの艦艇の建造が決定されました。具体的には、モンタナ級戦艦5隻（後に建造中止）、アイオワ級戦艦2隻（同様に後に中止）、航空母艦18隻、アラスカ級大型巡洋艦6隻、巡洋艦27隻、駆逐艦115隻、そして潜水艦43隻が含まれています。これに加え、15,000機の航空機が製造されることも決まっています。

これらの艦艇は、合計で133万トンという膨大な戦力を形成しようとするもので、当時の大日本帝国海軍の総戦力147万トンに匹敵する圧倒的な規模を持った計画でした。この法案は、アメリカがその海軍戦力を大幅に増強することを明確に示しています。

影響と結果

両洋艦隊法の影響は、単に数値的な拡張にとどまらず、対日本、対ドイツ戦略にも大きな変化をもたらしました。特に、ロンドン海軍軍縮条約によりアメリカが有することになった海軍戦力は、当時の大日本帝国海軍の7割程度であるという不満がもたらしていました。日本海軍の艦隊派は、対米強硬派を主張したものの、両洋艦隊法に基づいて艦艇が完成した場合、アメリカの戦力は対日本の5割にまで達することが明らかになり、それが対米開戦に向けた日本側の決意を促す要因となったとも言われています。

関連項目

この法律は、アメリカの海軍拡張の中でも特に重要な位置を占めており、以下の関連法案や計画とも深い関係があります。例えば、第一次海軍拡張法であるヴィンソン・トランメル法や、第二次および第三次海軍拡張法などが挙げられます。これらの法令は、アメリカの海軍戦略を考えるうえで欠かせない流れを理解する上で重要です。これにより、時代背景や軍事的な動きが相互に関連していることも浮き彫りとなります。

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