艦隊派

艦隊派（かんたいは）について

艦隊派は、大日本帝国海軍の内部で形成された代表的な派閥の一つです。この派閥は、海軍の方針に対する対立の中で重要な役割を果たしてきました。特に、明治時代から昭和時代にかけて、艦隊派はさまざまな側面で海軍政策に影響を及ぼしました。

反本省派としての艦隊派

艦隊派の起源は、1891年に山本権兵衛が海軍省の主事に就任した頃にまでさかのぼります。山本はその後、海軍軍政を主導し、様々な改革を進めましたが、これに対抗する反対派が現れました。反本省派と呼ばれるこの集団は、山本と同じ旧薩摩藩出身の柴山矢八や日高壮之丞を中心に形成されました。

柴山および日高は山本と異なる路線を選び、井上良馨を盟主として活動しましたが、これは党派的な動きでもあり、内部には混乱が生じていました。特に、日露戦争の前には、山本が推進した高級軍人の予備役編入に関する議論がこの対立を際立たせました。

反条約派としての艦隊派

1930年、ロンドン海軍軍縮条約が締結されたことで、艦隊派と条約派の対立は新たな局面を迎えます。条約派は、日本の海軍力の抑制を受け入れる立場を取ったのに対し、艦隊派はこれに強く反発しました。艦隊派の中心人物には、伏見宮博恭王、加藤寛治、山本英輔などが名を連ね、彼らは海軍の独自性を重視する立場を貫きました。

この時期、東郷平八郎の名声は艦隊派への支持を集める重要な要素となりました。また、軍令部側と海軍省側の対立構造は、後に統帥権の干犯問題にまで発展し、艦隊派への支持基盤のひとつともなりました。

艦隊派の多様性

艦隊派にはさまざまな思想や戦略を持つ人物が含まれていました。中村良三は軍縮に対抗する作戦研究を強よく推進した一方で、政治的には艦隊派に属さない者も多く、例えば、大角岑生は条約派との対立を避ける姿勢をとっていました。若手の南雲忠一も、交渉時に強硬な姿勢を取り、艦隊派の一員と見なされることがありました。

また、艦隊派には日独伊三国同盟を支持する意見や、対米開戦を強硬に主張するメンバーも存在し、その中には石川信吾や神重徳などが含まれます。小林省三郎や真崎勝次、山下知彦、加来止男、小笠原長生、千坂智次郎、南郷次郎など、幅広い人材がこの派閥を支えていました。

結論

艦隊派は、大日本帝国海軍の中で大きな影響力を持った派閥であり、政治的、軍事的な面での多様な対立を背景に、海軍の運営や政策に大きく関与してきました。彼らの存在は、当時の日本における海軍の外交・軍事戦略を考える上で欠かせない要素となっています。

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