両税法

両税法とは

両税法（りょうぜいほう）は、唐中期から明中期にかけて中国で実施された税制を指します。この制度は、夏と秋の二回にわたって税が徴収されることから名付けられました。均田制の失敗を受けて、改良された租庸調制が基盤となりました。

歴史的背景

送税制度の検討は唐時代にさかのぼります。唐王朝では、農民を戸籍に登録し、そこに基づいて農地を配分し、その土地に対して租（田租）、庸（賦役）、調（人頭税）を課す制度が運営されていました。しかし、武則天の政策によって新興の富裕層が土地を獲得し、農民は土地を奪われて租税の負担を抱えきれなくなる現象が発生しました。この結果、逃戸という戸籍から逃げる農民が増加し、税収が減少する事態に陥りました。

唐政府は、新たに逃亡先での戸籍登録を行ったものの、安史の乱を経て戸数の把握が難しくなっています。この税収減少の穴埋めとして、租庸調制の構造を改訂し、土地への課税を地税、賦役を資課、調税を戸税に変更し、税体系が簡略化されました。これが両税法です。

両税法の概要

780年、徳宗の宰相である楊炎の提案によって両税法が正式に施行されました。この税法の大きな特徴は以下の通りです。
1. 税の一本化：戸税や地税、賦役などが一つの両税にまとめられ、雑税が廃止されました。
2. 徴収時期：農作物の収穫シーズンに合わせ、6月に麦と、11月に粟・稲が納められる二回の徴収が行われました。
3. 課税方法の変更：農民の資産に応じて税額が異なるようになり、物品の現物納付から銭による納税が原則となりました。
4. 主戸・客戸の区別撤廃：資産を持つ者には一律で課税が行われました。

この法令により農民は、より農業生産に資する資産を持つことが求められ、物理的な納税に関する負担が平等にされる方向性が目指されましたが、制度施行初期から問題も多く見受けられました。特に、銭の流通が十分でなく、物の価値が不安定になり農民は経済的に困窮する状況が生まれました。

両税法の影響

両税法の施行後、布帛を筆頭に物品の市場価値が低下し、農民の負担は増大しました。これは、土地所有者や資本家が脱税を行いやすくなった結果、一般農民への税の負担が大きくなったことを意味します。また、農民は納税ために貨幣を求められるようになり、商業活動が活発化したものの、急激な需要が物価の低下を招き、商人による買い叩きが進行しました。809年には公定価格に基づく物納が認められ、821年にはこの方式がさらに拡大されました。

その後、五代十国時代を経て北宋時代においても両税法の影響は見られましたが、特に明代中期には、税制が複雑化し新たに一条鞭法が施行されることで両税法は廃止されました。両税法が持っていた影響力は、各時代を通じて形を変えながらも続いていったのです。

このように、両税法は当時の政治経済の変革を反映しており、その形式や実施の過程でさまざまな問題が生じたことは、中国の歴史の中でも重要な意味を持つと評価されます。

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