中原勇

中原 勇

1950年9月12日、鹿児島県鹿児島市に生まれた中原勇は、かつてプロ野球のグラウンドで左腕投手として活躍した人物です。

アマチュア時代の歩み

鹿児島高等学校に進学した中原は、当初は野手、特に一塁手として才能を発揮しました。高校2年生の時には、チームの一員として第49回全国高等学校野球選手権大会に出場する経験も積んでいます。初戦で仙台商業高校に敗れはしたものの、彼はチームで唯一の安打を記録しました。

高校卒業後、社会人野球の名門である日本鉱業佐賀関へと進みます。ここで中原は大きな転機を迎え、投手に転向。その才能が開花し、プロ球団から注目される存在となります。

プロ入りと選手としての特徴

1969年秋に行われたプロ野球ドラフト会議で、東映フライヤーズから2位という高い評価を受けて指名され、念願のプロ入りを果たしました。

身長178センチ、体重70キロと比較的細身ながら、中原は左オーバースローから威力のある球を投げ込みました。彼の主な武器はストレート、シュート、そして鋭く落ちるカーブで、特にカーブは勝負を決める決め球として効果を発揮しました。その投球スタイルから、プロの世界では主に左の中継ぎ投手として重用されました。

プロ野球でのキャリア

プロ1年目の1970年シーズン、中原は早くもその頭角を現します。イースタン・リーグでは防御率のタイトルを獲得し、その年のリーグ最優秀防御率投手となりました。一軍でも初登板を含む21試合に登板し、将来を期待される存在となりました。

彼が在籍した球団は、時代の流れと共に名称を変えていきます。東映フライヤーズは1973年に日拓ホームフライヤーズへ、そして1974年には日本ハムファイターズへと変わりました。この間、中原はチームのブルペンを支える存在として投げ続けました。背番号も、入団時の16番から、球団名が日拓になった1973年から47番、そして1977年には12番と変更されました。

特に印象的な出来事としては、日本ハム時代の1974年に記録された、高橋直樹投手による「1人で1試合の勝利投手とセーブ投手を同時に記録する」というプロ野球史上稀に見る珍しい試合に、中原も登板したことが挙げられます。

しかし、プロ生活後半は順風満帆ではありませんでした。1975年と1976年は故障に見舞われ、一軍での登板機会がありませんでした。復帰を目指した1977年も、登板はわずか4試合にとどまります。

同年オフ、中原は金銭トレードによって阪神タイガースへの移籍が決まります。タイガースでは背番号48を背負いましたが、残念ながら1978年シーズンに公式戦で登板することはなく、この年限りで現役生活にピリオドを打ちました。

第二の人生

現役引退からおよそ1年後、中原は生まれ故郷である鹿児島へと帰郷しました。当初はスナックを経営していましたが、その後は自宅で手作り料理を提供するもつ鍋・焼き鳥店を営むなど、飲食業の道で新たなキャリアを築きました。

また、野球への情熱は衰えることなく、千葉ロッテマリーンズが鹿児島県で実施する春季キャンプにおいて、グラウンドでの練習を手伝うなど、プロ野球OBとして後進の指導や球界への貢献も続けていました。選手として、そして故郷で第二の人生を歩んだ中原勇は、野球人生を通じて様々な経験を積んだ人物と言えるでしょう。

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