中国共産党革命根拠地

中国共産党革命根拠地は、中国共産党が革命運動を展開する上で、重要な拠点となった行政区画です。その変遷は、農地解放を目指した武装革命初期のソビエト区、日中戦争における抗日根拠地、そして国共内戦における解放区という3つの主要な段階に分けられます。本稿では、これらの各時期における根拠地の成立背景、行政機構、特徴について詳しく解説します。

ソビエト区（1927年-1934年）

ソビエト区は、中国共産党が農村部を中心に設立した初期の革命根拠地です。この時期は、都市部での活動が困難になった共産党が、農民を組織し、農地改革を目指した時期に相当します。各地で設立されたソビエト政府は、その規模や存続期間は様々ですが、以下のようなものが挙げられます。

海陸豊ソビエト政府 (1927年11月-1928年2月): 広東省東部に設立。
陸豊県ソビエト政府 (1927年10月-1928年2月): 広東省陸豊県に設立。
海豊県ソビエト政府 (1927年10月-1928年2月): 広東省海豊県に設立。
紫金県ソビエト政府 (1927年10月-1928年2月): 広東省紫金県に設立。
恵陽県ソビエト政府 (1927年10月-1928年2月): 広東省恵陽県に設立。
広州市工農兵ソビエト政府 (1927年12月12日): 広州市に設立されるも、1日で解散。
湘南ソビエト政府 (1928年3月-1928年4月): 湖南省南部に設立。
宜章県工農兵政府 (1928年1月-不明): 湖南省宜章県に設立。
宜章県ソビエト政府 (不明-1928年4月): 湖南省宜章県に設立。
郴県ソビエト政府 (不明-1928年4月): 湖南省郴県に設立。
資興県ソビエト政府 (不明-1928年4月): 湖南省資興県に設立。
永興県ソビエト政府 (不明-1928年4月): 湖南省永興県に設立。
耒陽県ソビエト政府 (不明-1928年4月): 湖南省耒陽県に設立。
湘贛辺特区工農兵政府 (1928年5月-不明): 湖南省、江西省の境界域（井崗山地区）に設立。
平江県工農兵ソビエト政府 (1928年7月24日): 湖南省平江県に設立されるも、約1週間で撤退。
中央ソビエト政府 (1931年11月-1934年10月): 江西省と福建省の南部境界域に設立。
贛西南ソビエト政府 (1930年3月-1931年11月): 江西省南東部に設立。
贛南革命根拠地 (1929年初期-1930年3月): 江西省南部に設立。
贛西革命根拠地 (1929年初期-1930年3月): 江西省西部に設立。
湘贛革命根拠地 (1929年5月-1930年3月): 湖南省、江西省の南部境界域に設立。
閩西革命根拠地 (1930年3月-1931年11月): 福建省南西部に設立。
湘鄂贛ソビエト政府 (1930年7月-1934年8月): 江西省、湖南省、湖北省の境界域に設立。
閩浙贛ソビエト政府 (1930年7月-1934年11月): 福建省、浙江省、江西省の境界域に設立。
贛東北工農民主政府 (1927年11月-1930年7月): 江西省東北部に設立。
閩北工農民主政府 (1927年10月-1930年7月): 福建省北部に設立。
鄂豫皖ソビエト政府 (1930年6月-1934年11月): 安徽省、河南省、湖北省の境界域に設立。
鄂豫辺ソビエト政府 (1927年11月-1930年6月): 湖北省、河南省境界域に設立。
豫東南ソビエト政府 (1929年5月-1930年6月): 河南省東南域に設立。
皖西ソビエト政府 (1929年11月-1930年6月): 安徽省西部に設立。
湘鄂西ソビエト政府 (1930年7月-1932年秋): 湖北省と湖南省の西部境界域に設立。
右江ソビエト政府 (1929年12月-不明): 広西省に設立。
東江ソビエト政府 (1930年5月-不明): 広東省東部に設立。
瓊崖ソビエト政府 (1928年7月-不明): 海南島に設立。
襄棗宜ソビエト政府 (1927年冬-不明): 湖北省北部に設立。
川東ソビエト区 (1929年4月-不明): 四川省東部に設立。

1931年11月、中華ソビエト共和国が成立し、省、県、区、郷の4級行政区分が定められましたが、実際には南京国民政府との軍事的対立により、行政区画は頻繁に変更されました。

省: 1933年7月に管轄区域の調整が行われました。
県: 山区では12郷以内、平地区では15郷以内を管轄しました。
区: 山区では45里以内、平地区では30里以内を管轄し、それぞれ郷数を規定しました。
郷: 山区では15里以内、人口3000人以内、平地区では5里以内、人口5000人以内と定められました。

抗日根拠地（1937年-1945年）

日中戦争の勃発により、中国共産党は抗日活動を展開し、その実効支配地域は抗日根拠地となりました。第二次国共合作により、これらの根拠地は国民政府の所轄とされ、ソビエト区とは異なる性格を持つこととなりました。抗日根拠地の行政機構は統一されておらず、辺区政府、辺区行政委員会、戦時行政委員会といった様々な名称が用いられました。

これらの根拠地では、国民政府と辺区議会（参議会）の命令の下に地方行政が実施され、民政、財政、教育、経済、建設、軍事などの業務を担当しました。辺区政府には行政公署（行署）や行政督察専員公署（専署）が設置され、行署は行政権を執行、専署は辺区政府を補佐する役割を担いました。

例えば、晋察冀辺区には冀晋、冀察、冀中、冀熱の4行署が設置され、行署の下に複数の専署、その下に複数の県が置かれる構造となっていました。

解放区（1945年-1949年）

日本敗戦後、国共内戦が再開すると、共産党軍はその占領地域に解放区を設置し、地方行政機構を整備しました。抗日拠点は解放区に改編され、参議会制度から人民代表会議制度へと政策決定機構が改編されました。

戦局の進展に伴い、小規模な解放区が多数出現すると、共産党は省、行署、直轄市、専区、県、市からなる4級の地方行政体制の確立を目指しました。末端行政組織としては県、区、郷の3級制度が確立され、各解放区の整備が推進されました。これらの行政機構は、現在の中華人民共和国における行政機構の原型となっています。

満州地区の解放区については、その変遷が特に複雑であり、以下の表にまとめられています。

(満州地区解放区変遷表は、テキストデータでの表現が困難なため、ここでは割愛します。)

まとめ

中国共産党革命根拠地は、その時代背景と共産党の戦略に応じて、ソビエト区、抗日根拠地、解放区という異なる性格を持つ行政区画へと変遷しました。これらの変遷は、中国共産党の成長と、後の中国人民共和国の成立に大きな影響を与えました。

中国共産党革命根拠地