里

里（り）とは

里は、東アジアで用いられてきた長さの単位です。しかし、その長さは時代や地域によって大きく異なり、複雑な歴史を持っています。ここでは、中国、日本、朝鮮における里の変遷について詳しく解説します。

中国における里

古代

里は、元々は古代中国の周代において面積の単位として使われていました。300歩四方の面積が1里とされ、後にこの一辺の長さが距離の単位となりました。周・漢時代の1歩は約1.3mと推定され、1里は約400mでした。

時代による変化

その後、1歩が5尺、360歩が1里と定義されましたが、1尺の長さが時代によって変動したため、1里の長さもそれに合わせて変化しました。清代には1尺が32cmと定められ、1里は576mとなりました。しかし、1929年にこの値は廃止され、市制では1里が500mと再定義されました。

市里と公里

メートル法が導入された際、キロメートルにも「里」の字が当てられたため、区別のため、従来の里を「市里」、キロメートルを「公里」と呼ぶようになりました。

日本における里

古代

日本には古代に中国から「里」が伝わり、律令制では、1里が5町（300歩）と規定されました。当時の尺は現在よりも短かったため、1里は約533.5mと推定されています。

中世・近世

律令制が崩壊すると、地域や時代によって様々な長さの里が使われるようになりました。一般的には5町から6町の間でしたが、直接計測が困難なため、半時（約1時間）歩く距離を1里とする慣習も生まれました。このため、36町、40町、48町など様々な長さの里が存在しました。

一里塚の導入

混乱を避けるため、豊臣秀吉が36町里に基づく一里塚を導入し、徳川家康が全国に敷設させました。しかし、実際には各地の里が完全に置き換えられることはありませんでした。なお、1里を36町としたのは織田信長という説は誤りです。

小道と大道

主に6町の里と36町の里が併存し、「小道」「大道」と区別され、東国では小道、西国では大道が使われました。七里ヶ浜や九十九里浜といった地名は、小道が使われた名残です。

伊勢道の里

伊勢道の里は、通常より少し長く、1間を6尺5寸として計算すると、約39町相当となりました。これは、徳川家康が1間を6尺と定める以前に使われていた値です。

近代

明治時代に入ると、1891年の度量衡法で1里は36町と定められ、約3927.2727m（約3.9km）となりました。これにより、異なる長さの里の利用は禁止されました。日本の里と中国の里は長さが大きく異なるため、日本の文献では中国の里を「支那里」と呼んで区別していた時代もありました。

朝鮮における里

周尺

朝鮮では、「周尺」という約20cmの短い尺を基本とし、6周尺を1歩、360歩を1里としました。1902年にはメートル法との対応が定義され、1里は420mとなりました。日本の尺貫法に基づく新しい度量衡法が制定された際、日本の1里を朝鮮の10里としました。

メートル法への統一

1964年に度量衡はメートル法に統一され、公式には里は使われなくなりました。現在では、「里」は「だいたい400m」という意味で使われます。韓国の国歌にある「三千里」は約1200kmで、朝鮮半島の南北の長さを意味します。

まとめ

里は、東アジアの歴史の中で様々な変遷を遂げてきた長さの単位です。その長さは地域や時代によって異なり、それぞれの文化や社会における意味合いを反映しています。これらの情報を通じて、里という単位の多様性と奥深さを理解することができます。

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