中国北方航空6901便墜落事故

中国北方航空6901便墜落事故

1993年11月13日、中国北方航空6901便は、瀋陽桃仙国際空港からウルムチ地窩堡国際空港へ向かう途中で、着陸進入中に墜落しました。この事故により、乗員乗客102名のうち12名が命を落とすという、中国北方航空にとって初の死亡事故となりました。

事故機

事故を起こした航空機は、マクドネル・ダグラス MD-82（機体番号B-2141）で、1991年に製造された機体でした。

運航乗務員

6901便には、以下の4名の運航乗務員が搭乗しており、全員が事故で亡くなりました。

機長（兼教官）： 1940年9月生まれ。MD-82の機種転換は1988年9月。Y-5、Il-14、トライデントの乗務経験を持つベテランパイロットで、総飛行時間は15,296時間53分でした。
副操縦士： 1950年7月6日生まれ。1989年4月にMD-82に機種転換。Li-2、トライデントの乗務経験があり、総飛行時間は4,620時間53分でした。
副操縦士（研修中）： 1963年5月24日生まれ。H-5の飛行経験があり、総飛行時間は1,053時間32分。1993年の飛行時間は248時間32分でした。
航空機関士： 1946年9月生まれ。1989年4月にMD-82に機種転換。Li-2、An-24、トライデントの乗務経験があり、総飛行時間は14,046時間28分。1993年の飛行時間は949時間18分でした。

事故の経緯

6901便は、瀋陽からウルムチへ向かう国内定期旅客便でした。事故当日、ウルムチ空港周辺は濃い霧に覆われていました。

着陸進入中、管制官は高度計規正値を通常とは異なる用語を使って指示しました。パイロットはこの指示を誤って解釈し、高度計に誤った数値を設定しました。これにより、機長の高度計表示は実際の高度よりも2,128フィート（約649メートル）高く表示されました。

機長は高度が高いと判断し、自動操縦装置を垂直速度モードに設定し、毎分800フィート（約240メートル）で降下を開始しました。この間、副操縦士席の高度計は正しい値を示していましたが、見過ごされました。

機体はグライドパスから逸脱し、対地接近警報装置が作動しました。コックピット内では「Glide Slope」の警報が2回、「Pull Up」の警報が4回鳴り響きました。しかし、パイロットはこれらの警報の意味を理解できず、「このPull Upはどういう意味か？」と副操縦士に尋ねる始末でした。副操縦士もこれに答えられませんでした。

パイロットは最終的に高度が低すぎることに気づき、自動操縦装置を高度維持モードに切り替えましたが、オートスロットルを入れなかったため、機体の迎え角が増加しただけでエンジン出力は増大しませんでした。結果として、機体は失速しました。

14時56分（中国標準時）、6901便は滑走路25の手前2,200メートルの地点で送電線に接触しながら畑に墜落し、炎上しました。この事故で、乗員4名と乗客8名の計12名が死亡し、60名が負傷しました。負傷者の中には、イタリア人2名と日本人1名が含まれていたと報道されています。

事故原因

事故原因は、以下の要因が複合的に重なったものと結論付けられました。

悪天候と高度計の誤設定： 濃霧という悪天候の中で、高度計を誤って設定したことにより、パイロットは機体が低高度を飛行していることに気づけませんでした。
管制官とのコミュニケーションミス： 管制官が通常とは異なる用語を使用したため、パイロットが設定する高度を誤解しました。
* パイロットの判断能力不足： 対地接近警報装置の意味を理解できないなど、パイロットの判断能力が不十分であったことが明らかになりました。

この事故は、ヒューマンエラーが航空事故に繋がる危険性を改めて示唆する事例となりました。

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