中国放送沖美ラジオ送信所

中国放送沖美ラジオ送信所について

中国放送沖美ラジオ送信所は、広島県江田島市沖美町に設置されている、中国放送（RCCラジオ）の中波放送送信所です。通称「RCC広島ラジオ送信所」とも呼ばれています。

この送信所は、老朽化した廿日市市の送信所に代わり、RCC開局50周年を迎えた2002年 10月1日に、現在の江田島市沖美町美能に移転・開局しました。これは3代目の送信所となります。

送信所の概要

沖美ラジオ送信所の特徴は、高さ110mの自立式基部設置型アンテナを採用している点です。これは、敷地が狭く歪な形状であったため、AMラジオ送信所としては珍しい構造です。また、2002年当時は朝鮮半島に同一周波数を使用する放送局が存在したため、混信を避けるために韓国方向への電波を抑制する指向性が設けられました。このため、倉橋町（呉市）や松山市など一部地域では、移転前に比べて電波が弱まる結果となりました。

送信所では、3.4GHz無線デジタル回線とNTT有線回線を使用して番組を伝送しています。STL回線は、本社南館の鉄塔から絵下山のデジタルテレビ親局を経由して伝送されています。絵下山経由での伝送は、回線の安定性を確保するだけでなく、2006年に開始が迫っていたデジタルテレビ放送用のSTL回線を確保するという目的もありました。なお、3.4GHz帯は将来的に第4世代携帯電話用に割り当てられる予定であり、2022年11月末までに6.5GHz帯へ移行する必要がありました。

歴史

ここでは、観音送信所（初代）と廿日市ラジオ送信所（2代目）についても合わせて解説します。

観音送信所（初代）

- 1952年4月10日：広島市南観音町に送信所敷地を仮契約。面積は9,900平方メートル。
- 1952年9月17日：試験電波を発射。
- 1952年9月26日：郵政省から本免許交付、サービス放送開始。
- 1952年10月1日：周波数1260kHz、出力1kWで開局。
- 1953年 8月1日：周波数を1240kHzに変更。
- 1956年 10月1日：出力を3kWに増力。
- 1959年10月1日：出力を10kWに増力。
- 1960年 4月5日：周波数を1370kHzに変更。

観音送信所の敷地の一部は広島空港に提供され、残りの土地は住宅展示場として活用されました。

廿日市ラジオ送信所（2代目）

- 1961年4月：廿日市町に約23,000平方メートルの敷地を取得。
- これは、観音送信所の近くに開港した広島空港の航空機発着の支障になるため、移転を余儀なくされたためです。
- 1961年 8月30日：送信所を廿日市町に移転。高さ110mのアンテナを設置。総工費は約6,500万円。
- 1961年 12月18日：廿日市ラジオ送信所を無人化。
- 1962年 10月1日：周波数を現在の1350kHzに変更。
- 1971年 12月15日：出力を現在の20kWに増力。
- 1982年9月26日：プリエンファシスを導入。
- 1992年 10月1日：AMステレオ放送を開始。
- 1997年：塔体点検で老朽化が確認され、送信所の移転が決定。
- 2003年4月14日：廿日市ラジオ送信所を閉鎖。鉄塔は同月30日に撤去完了。
- 送信所跡地は廿日市自動車学校に貸与されています。

RCC沖美ラジオ送信所（3代目）

- 2002年 10月1日：送信所を現在地に移転。
- 2011年3月14日：AMステレオ放送を終了。

AMステレオ放送について

1992年 10月1日からAMステレオ放送を実施していましたが、2011年3月14日未明に終了し、モノラル放送に切り替えました。かつては、福山・三原・府中の中継局でもAMステレオ放送を行っていましたが、経営合理化のため、これらの放送は先行して終了しています。なお、中国自動車道沿線の中継局では、開局当初からAMステレオ放送は実施されていません。

その他

関連情報として、NHK祇園ラジオ放送所、広島親局送信所、岩国デジタル中継局などがあります。

参考文献

- 中国放送50年史編さん委員会『中国放送の50年その時、いつもそばにいた』中国放送、2002年。
- 中国放送60年史編纂委員会『RCC開局60年デジタル化の道のり [50-60年史]』中国放送、2013年。

この情報は、中国放送の公式ウェブサイトを元に作成しています。

RCC 広島ラジオ送信所（沖美町） - 中国放送公式サイト内

もう一度検索