中国系オーストラリア人

中国系オーストラリア人の歴史と現状

中国系オーストラリア人は、中華人民共和国や香港、マカオ、台湾、そして東南アジアの国々から祖先を持つオーストラリア人を指します。2016年にはオーストラリアの人口の5.6％を占め、アジア系住民の中でも主要なグループです。特にシドニーやメルボルンといった大都市に多く分布しています。

移民の始まり

中国人のオーストラリアへの移民の記録は1818年に遡ります。この年に広東省の広州から移住した麦世英がシドニーに定住し、その後の移民の波を生み出すこととなります。特に1851年に金鉱が発見されると、ゴールドラッシュにより多くの中国系労働者がオーストラリアに渡ってきました。この時期、太平天国の乱などの影響で、1854年から1858年にかけて約45,000人の中国系移民が流入しました。

当時のオーストラリアの総人口134万8100人の中で、中国系移民は約39,000人に達し、全体の約2.9％を占めていました。労働力不足を抱えていたイギリスによって中国人移民が受け入れられましたが、オーストラリアでは反中感情も高まりました。

白豪主義とその影響

1861年、イギリスは中国人の雇用を認める北京条約を結び、移民が続く中、ニューサウスウェールズ州では反中暴動が勃発しました。1870年代には新たに発見された金鉱を求めて中国人移民が各地に広がりましたが、労働者に対する反発が強まります。1878年には船員組合が中国人船員の雇用に対してストライキを行い、1888年には移住制限政策が導入されました。

1901年に連邦が結成されると移民制限法は一層強化され、中国系住民の人数は減少していきました。このような「白豪主義」は1973年まで続きました。1975年には人種差別禁止法が施行され、中国系住民に対する新たな道が開かれました。

新たな移民の流れ

1970年代後半から1980年代にかけて、ベトナム戦争やカンボジア紛争の影響で、さまざまな国からの難民がオーストラリアへと渡り、その中に中国系住民も含まれていました。特に1989年の天安門事件以降、当時の首相ボブ・ホークは中国からの留学生に永住の権利を付与し、以降の経済成長に伴い中国からの移民が増加しました。

現在、中国系オーストラリア人はオーストラリアの文化や経済に多大な影響を与えています。豊かな歴史を背景に持ち、彼らのコミュニティは多様性に富み、オーストラリア社会の一部として融和を大切にしています。地域社会に貢献する活動や文化交流は、彼らの存在感を際立たせ、オーストラリアの多文化共生の象徴となっています。

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