中国銀行（香港）

中国銀行（香港）有限公司（BOCHK）

中国銀行（香港）有限公司（Bank of China (Hong Kong) Limited）は、香港を拠点とする大手商業銀行であり、総資産と預金残高で香港第2位を誇ります。その歴史は、1917年に中国銀行が香港に支店を開設したことに始まり、2001年に複数の子会社が合併して現在の形となりました。略称は中銀香港、または英語名の頭文字からBOCHKと呼ばれています。キャッチコピーは「Your Premier Bank」です。

歴史

1917年、中国銀行が香港に支店を開設し、これが本土の銀行としては初の海外進出となりました。1949年の中華人民共和国成立時には、中国銀行を含む国有銀行の支店が15あり、官民合弁による9つの銀行が設立されていました。さらに1950年までに2つの銀行が加わりました。

1952年、官民合弁の9銀行が提携し、共同支店として運営されるようになりましたが、その後、一部の銀行は本土政府に接収され離脱しました。残った6行は1958年に中国銀行の香港・マカオ支店の傘下に入りました。その後、広東省銀行、華僑商業銀行、交通銀行の香港支店も加わりました。

1975年、中国政府が中国銀行に資本注入を行い、民間企業の出資比率は1%未満となり、実質的に完全国有化されました。1980年代には勘定系システムが一新され、共同支店提携は中銀集団（中国銀行グループ）と名称を変えました。しかし、傘下の各行は個別の経営を続けていました。

1999年、株式上場を目指して中銀が傘下各行の全株式を取得し、2001年に中国人民銀行の承認を受けて構造改革を実行しました。中銀集団発足時からの6行は宝生銀行に吸収され、中国銀行（香港）有限公司と改称。南洋商業銀行と集友銀行を中銀香港の子会社としました。

香港特別行政区立法会は2001年7月12日に「中国銀行（香港）合併令」を公布し、同年10月1日に合併作業が完了しました。

中銀香港ホールディングス

中銀香港は、持株会社である中国銀行（香港）控股有限公司（BOC (Hong Kong) Holdings Limited、中銀香港ホールディングス）の100%出資子会社です。中銀香港ホールディングスは香港証券取引所に上場しており、米国預託証券も発行しています。香港ハンセン株価指数の構成銘柄の一つであり、国際的な資本市場に登場した中国の銀行としては第一号と言えます。

中銀香港ホールディングスの筆頭株主は、中国本土の中国銀行であり、そのまた筆頭株主は中央匯金投資です。中央匯金投資は中国政府が100%出資する投資持株会社であり、中銀香港は間接的に政府の影響下にあると言えます。

子会社

中銀香港は、南洋商業銀行と集友銀行を子会社としています。

南洋商業銀行: 1950年設立で、中銀香港の100%出資子会社であり、41の支店を持っています。中小の製造業を中心とした融資を行っており、東南アジアの華僑社会との繋がりが深い銀行です。
集友銀行: 1947年に設立され、福建省からの移住者に広く利用されています。福建省アモイの教育事業に多額の融資を行うなど、地域との繋がりが深い銀行です。

業務

中銀香港の主な業務は、個人の預金受け入れと企業への融資ですが、近年は消費者金融やプライベートバンキングにも注力し、サービスの幅を広げています。損害保険、生命保険、年金運用などの金融商品も取り扱っています。

香港最大級の営業網を持ち、200以上の支店と450台のATMを設置しています。中国本土にも14の支店がありますが、香港の法令に基づいて運営されているため、外国銀行として扱われます。

人民元決済

2003年、中国本土住民による香港への個人旅行が段階的に開放されたことを受け、香港金融管理局と中国人民銀行は、中国本土住民が香港で銀聯やクレジットカードを利用可能とする覚書に調印しました。これにより、香港に人民元を取り扱う機関が必要となり、中銀香港が人民元決済銀行に選定されました。これは人民銀行が決済業務を外部に認可する初の事例であり、中銀香港は人民銀行の香港における総代理人としての役割を担っています。

銀通（JETCO）

1982年、中銀香港は他の5行と共に銀通（Joint Electronic Teller Services Limited、JETCO）というATMネットワークを設立しました。現在では多くの銀行が加盟し、累計1,400台のATMで銀通のサービスが利用可能です。香港上海銀行とその傘下にある恒生銀行は独自のATMネットワークを運営しており、銀通とは相互接続されていません。

銀通は中国本土の銀聯とも接続していますが、セキュリティ上の理由から、以前は可能だった銀通加盟行のキャッシュカードによる中国本土での人民元引き出しサービスは停止されました。代わりに、銀通加盟行は別途、銀聯カードを発行することになりました。

香港ドル発券

中銀香港は、香港ドル紙幣を発行する3つの金融機関の一つです。1994年5月1日から「中国銀行香港分行」名義で香港ドルの発券を開始し、2003年からは中銀香港が発券を担当しています。中銀香港は、香港銀行公会の永久会員であり、同協会の会長を交代で輩出しています。

旅行代理店

中銀香港は、中銀旅行という旅行代理店を傘下に置いています。これはもともと南洋商業銀行の傘下にあり、同行と親密な華僑社会との接点から設立されたものです。

中国銀行タワー

中国銀行タワーは、香港島北部の金融街である金鐘地区に位置する超高層ビルです。中国系アメリカ人建築家イオ・ミン・ペイ（貝聿銘）の設計によるもので、1990年に完成しました。当時、アジアで最も高い超高層ビルであり、香港の象徴的な建物の一つとなっています。

全フロアが中銀のオフィスや業務窓口として利用されており、展望台などは設置されていません。エントランスには「中国銀行（香港）」ではなく「中国銀行」とあり、実際に本土中国銀行も入居しています。

参考文献

Feng, Bangyan; (2002年). A Century of Hong Kong Financial Development. Joint Publishing Hong Kong. ISBN 9620421299.
BOCHK 2003 Annual Report. 2004年3月.
BOC (Hong Kong) Holdings IPO Prospectus. 2002年8月.

関連項目

中国銀行 (中華人民共和国)
中国銀行タワー

外部リンク

中国銀行（香港）有限公司
中銀信用卡（国際）有限公司
中銀旅遊有限公司

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