中央労働委員会 (琉球政府)

中央労働委員会について

中央労働委員会は、琉球政府労働局に設置された行政委員会であり、労働組合法（1953年立法第42号）に基づいて、労使関係の調整を主な任務としていました。同法では、各群島ごとに地方労働委員会の設置も規定されていましたが、実際には設置されることはありませんでした。

委員の構成

中央労働委員会は、以下の9名の委員で構成され、行政主席によって任命されていました。

労働者委員：3名
使用者委員：3名
公益委員：3名

これらの委員は、労使双方のバランスを取りながら、公正な判断を行う役割を担っていました。

対象となる労働者

中央労働委員会の対象となるのは、一般民間企業の労働者のみでした。公務員や米軍基地で働く労働者は対象外とされていました。これは、当時の琉球政府の管轄範囲が限定的であったことによるものです。

主な権限

中央労働委員会は、以下の様な権限を持っていました。

1. 労働組合の資格の立証：労働組合が法律上の要件を満たしているかを審査し、その資格を証明しました。
2. 労働協約の一般的拘束力の判定：労働協約が一定の要件を満たす場合に、その効力を他の労働者にも及ぼすことができるかを判断しました。
3. 不当労働行為に関する調査、審問、命令：使用者が労働組合に対して不当な行為を行った場合、その事実を調査し、審問を行い、是正を命じました。これは、労働者の権利を守るための重要な役割でした。
4. 労働争議の斡旋、調整、仲裁：労働者と使用者との間で紛争が発生した場合、当事者間の話し合いを促進し、合意形成を支援しました。斡旋、調整、仲裁といった様々な手段を通じて、円満な解決を目指しました。

復帰後の変遷

沖縄が日本に復帰する際、中央労働委員会は廃止され、その機能は沖縄県地方労働委員会へと引き継がれました。これにより、沖縄の労働関係に関する行政は、日本本土と同様の体制へと移行しました。

参考資料

照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。NDLJP:9775065。

関連事項

琉球政府
労働局

もう一度検索