中央即応集団

陸上自衛隊中央即応集団：迅速な対応と国際貢献を担った部隊

陸上自衛隊中央即応集団（CRF）は、2007年3月28日から2018年3月26日まで存在した、防衛大臣直轄の精鋭部隊でした。国内外の緊急事態への迅速な対応と、国際平和協力活動への貢献を目的として創設されました。

設立の背景と目的

従来の陸上自衛隊の組織体制では、迅速な対応が求められる事態への対処に課題がありました。そこで、機動性と専門性を兼ね備えた部隊を統合的に運用・管理する必要性から、中央即応集団が誕生しました。その主な目的は、以下の2点です。

1. 迅速な対応力強化: 国内外の災害、テロ、その他緊急事態に迅速かつ効果的に対応するための部隊を編成し、一元的に運用管理することで、即応性を高めること。
2. 国際平和協力活動の推進: 国際平和協力活動に関する研究、教育訓練、指揮を統括することで、日本の国際貢献を強化すること。

これを実現するため、空挺部隊、ヘリコプター部隊、特殊作戦部隊、特殊武器防護部隊などを統合的に運用する体制が構築されました。

組織と役割

中央即応集団は、司令官（陸将）を頂点とし、国内担当と国際担当の2人の副司令官（陸将補）を置いていました。これは、陸上自衛隊において初めて「司令官」という呼称が用いられたケースであり、防衛大臣の直接の指揮監督下で活動しました。

創設当初は約3,200名の人員規模でしたが、2008年3月末には4,500名に増加しました。隷下部隊には、第1空挺団、特殊作戦群、第1ヘリコプター団、中央特殊武器防護隊、国際活動教育隊などが含まれていました。

国内における役割は、災害派遣や緊急対応部隊としての活動です。一方、国外では、国際平和協力活動における指揮機構としての役割を担いました。

主要な活動と歴史

中央即応集団は、その存続期間中、数多くの国内外の活動に従事しました。

災害派遣: 新潟県中越沖地震（2007年）、東日本大震災（2011年）など、大規模な災害発生時には、迅速に部隊を派遣し、救助や復旧活動に貢献しました。
国際平和協力活動: 国際連合ネパール支援団（UNMIN）、ゴラン高原UNDOF、国際連合スーダン派遣団（UNMIS）、国際連合南スーダン派遣団（UNMISS）、東ティモール統合ミッションなど、様々な国際平和協力活動に参加し、国際社会への貢献を果たしました。
テロ対策: 北海道洞爺湖サミット（2008年）など、重要な国際会議の警備にも携わりました。
海外派遣部隊支援: ソマリア沖海賊対策、ジブチへの部隊警護要員の派遣なども行いました。

廃止とその後

2018年3月26日、中央即応集団は廃止され、隷下部隊は新たに設置された陸上総隊に移行しました。これは、防衛計画の大綱の見直しに基づく組織改編の一環でした。中央即応集団の活動は、陸上総隊へと受け継がれ、日本の防衛体制における重要な役割は継続されています。

中央即応集団司令部の組織

司令部は、当初は朝霞駐屯地に置かれ、その後、アメリカ陸軍第一軍団司令部との連携強化のため、2013年3月26日から廃止までキャンプ座間（座間駐屯地）に所在していました。司令部には、人事部、情報部、防衛部、後方補給部などの部門があり、方面総監部と同様の組織体制をとっていました。

中央即応集団は、その設立から廃止まで、日本の安全保障と国際貢献に大きく貢献した部隊でした。その歴史と役割は、日本の防衛体制を考える上で重要な要素となっています。

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