中山隧道
中山隧道
中山隧道（なかやまずいどう）は、新潟県の長岡市と魚沼市を結ぶ国道291号の旧道に存在する隧道です。このトンネルは全長922メートルで、手掘りで作られたトンネルとしては日本最長を誇ります。長岡市山古志東竹沢にある西側の口と、魚沼市水沢にある東側の口が特徴です。
歴史的背景
1933年から1949年にかけて、旧東竹沢村の小松倉集落の住民たちの努力によって建設されました。この地域では、住民が買い物や医療に行くためには中山峠を越える必要があり、その道のりは冬の厳しい条件下で非常に困難でした。1932年、住民たちは隧道を掘ることを決議し、翌年11月12日から掘削を開始しました。工事は無報酬で行われ、多くの住民が交代で自らの手でツルハシを使いながら進めました。
戦争の影響もあり、1943年から約4年間は工事が中断されましたが、1947年に再開し、1949年5月1日についに広神村側に貫通しました。この隧道の開通は、地域の住民にとって生活環境を大きく改善し、中山峠を越える時間が大幅に短縮されました。
トンネルの発展
開通当初の中山隧道は、幅1.4メートル、高さ1.5メートルの狭いものでしたが、その後の需要に応じて何度も拡幅工事が行われました。1982年には国道291号が中山隧道を経由するルートに延伸され、その後1998年には新たに建設された中山トンネルが隧道の役割を引き継ぎ、旧隧道はその歴史的価値から史跡として保存されることとなりました。
保存活動が進む中、当初は隧道全体を通行できましたが、2015年の点検で崩落の危険性が確認され、一部区間のみが公開されるようになりました。現在は崩落防止の工事が施され、山古志側の一部が一般に開放されています。
年表
隧道の建設及び改修における重要な出来事は次の通りです。
この中山隧道は、地域の誇りであり、地元住民の協力と努力の象徴として、現在もその名を冠して語り継がれています。土木学会選奨土木遺産に選定されるなど、その文化的価値も高く評価されており、地域の歴史を知るための重要な存在です。
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