中島仰山

中島仰山について

中島 仰山（なかじま ぎょうざん、天保3年7月10日（1832年8月5日） - 大正3年（1914年）4月22日）は、明治時代に活躍した日本の絵師であり、広く動物画で知られています。また、写真家としての顔も持ち、一説にはその技術が後の日本の写真文化に影響を与えたとも言われています。彼の旧姓は船橋で、通称は鍬次郎です。仰山は同時代に活動した関根雲停や増山雪斎と並び、その名が一時代を築きました。

生い立ちと出自

仰山は、一橋家の家臣である船橋半右衛門の次男として生まれました。「付け切り」とは、旧支配者の家に仕える身分を指し、仰山の家族は代々一橋家に仕官してきました。こうした背景には、家族の格式が高かったことが影響しています。家の当主であった船橋家の正道は、非常に高い俸給を有しており、このことが彼の教育や職業選択に影響を与えたと考えられます。

開成所での活動

仰山は、高橋由一とともに文久2年（1862年）頃から開成所に学びました。彼は画学局設置の母体となる絵図調方で教導職を務め、さらにその後、歩兵差図役並勤方に移動しました。彼の技術は西洋画に特化しており、そのための研鑽を続けていたことが伺えます。

写真家としての顔

仰山は御用により大坂に赴いており、徳川慶喜の写真を撮る仕事に従事していたと言われています。特に、慶喜公が上洛した際には、多くの写真を撮影し、その美しさには高い評価がありました。彼の写真器具はオランダから購入したもので、当時の技術としては非常に高価なものでした。多くの要人が彼の技術を評価し、仰山は質の高い作品を残しました。

維新後の仰山

明治維新を迎えると、中島家に養子入りし、中島姓を名乗るようになります。彼は上野や静岡で徳川慶喜に仕え、さらに油絵を教えるなどして過ごしました。明治5年（1872年）には東京に移住し、内務省博物館掛で動物画を中心に多くの博物図譜的な挿絵作品を手がけました。彼は多くの展覧会に出品し、その中には「孔雀」や「月ニ蝙蝠」などが含まれています。

晩年と作品

晩年の仰山は静岡の仏寺に住み、落ち着いて生活を送る一方、茶の湯や生花を教える活動も行いました。また、彼には弟子が多く、特に伊藤熊太郎はその後、米国に渡って活躍しました。仰山自身は、明治21年（1888年）まで博物館に在籍しており、その後は絵画活動を退くこととなります。彼の代表的な作品には、
「大日本国産童蒙一覧」に多くの挿絵を残し、「綿羊ノ図」や『日本竹譜』などの著作もあります。

まとめ

中島仰山の生涯は、明治時代における日本の芸術を形作る重要な要素であったことは間違いありません。彼の影響は今でも多くの美術や写真文化に残るものであり、後世に語り継がれることでしょう。

もう一度検索