中島惣社

中島惣社：歴史と信仰の軌跡

大阪市東淀川区東中島に位置する中島惣社は、悠久の歴史を刻む郷社です。かつては稲荷神社と呼ばれ、『摂津名所図会』にもその名が記されています。この地六ヶ村の産土神として崇敬を集め、地域住民の生活に深く根付いていました。

その起源は古く、孝徳天皇の白雉2年（651年）に難波長柄豊崎宮への遷都を機に創建されたと伝えられています。五穀豊穣を祈願する神社として、神領を賜り、地域の繁栄を見守ってきました。

豊臣秀頼も深く崇敬し、「中嶋総社」の四字が記された絹地を寄進した記録が残っています。しかし、慶長19年（1614年）の大坂冬の陣の戦火により、社殿は焼失。絵図と建武2年（1335年）の木額だけが辛うじて残ったのみでした。

明治5年（1872年）には郷社に列せられ、明治29年（1896年）に現在の社名「中島惣社」に改称されました。明治40年（1907年）には神饌幣帛料供進社に指定され、国家神道において重要な役割を担うことになります。

明治41年（1908年）から明治42年（1909年）にかけては、周辺地域の複数の神社が合祀されました。天満宮、須賀神社、神明社、皇大神社、八幡大神宮、稲荷神社、春日神社など、数多くの神社が中島惣社に合祀され、地域の信仰の中心地としての役割がより一層強まりました。特に、須賀神社は南北朝の動乱を避けて山城国から移り住んだ刀工・来一族の鎮守として創建された由緒ある神社であり、その跡地は現在須賀森公園として整備されています。公園内には、樹齢600年と推定されるクスノキが大阪府天然記念物に指定されています。

多くの社殿を有していた中島惣社でしたが、昭和20年（1945年）6月7日の大阪大空襲によって、神楽殿や絵馬殿を含む全ての社殿が焼失するという大きな被害を受けました。現在の社殿は、昭和62年（1987年）に再建されたものです。

現在の中島惣社では、宇賀御魂神、受保大神、大市比賣神を主祭神として祀り、その他多くの神々を相殿神として祀っています。境内には、本殿、拝殿、社務所の他に、若宮社や大将軍社などの末社も鎮座し、地域の信仰を集めています。

JR・地下鉄新大阪駅から徒歩約8分の場所に位置し、アクセスも良好です。歴史と信仰の重みを感じさせる中島惣社は、これからも地域住民の心のよりどころとして、その役割を担い続けることでしょう。

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