中川久教

中川久教：豊後国岡藩の第11代藩主

中川久教（なかがわ ひさのり）は、寛政12年（1800年）に近江彦根藩主・井伊直中の七男として生まれました。後の井伊直弼の兄にあたります。文化12年（1815年）に岡藩第10代藩主・中川久貴の婿養子となり、同年6月1日に久貴の隠居により家督を継承し、岡藩の第11代藩主となりました。

生涯

藩主就任後、同年9月5日に将軍・徳川家斉に拝謁し、同年12月16日には従五位下、修理大夫に叙任されました。文化13年（1816年）4月21日には、初めてお国入りの許可を得ています。

しかし、治世は多難を極めました。文化14年（1817年）から幕府による手伝い普請が始まり、藩財政を圧迫しました。さらに、文政6年（1823年）には大旱魃が発生し、藩の財政状況は深刻な困窮状態に陥りました。この窮状を打開するため、文政7年（1824年）から倹約令を発布し、財政再建に尽力しました。

ところが、天災はその後も相次ぎました。文政11年（1828年）、天保3年（1832年）、天保6年（1835年）、天保7年（1836年）と、旱魃や風雨による被害が頻発し、藩の財政は悪化の一途を辿りました。度重なる災害と幕府からの負担が、藩政を苦しめたのです。

天保11年（1840年）9月28日、中川久教は41歳で死去しました。跡は婿養子である中川久昭が継ぎました。

系譜

父：井伊直中（1766年 - 1831年）
母：関口氏
養父：中川久貴（1787年 - 1824年）
正室：育、絢 - 中川久貴の娘
養子
男子：中川久昭（1820年 - 1889年） - 藤堂高兌の次男
女子：岡部長和正室 - 中川久貴の娘
女子：栄子 - 中川久昭正室、加藤泰済の娘

中川久教は、藩主として藩政に尽力しましたが、相次ぐ天災と幕府からの負担に苦しめられ、財政難を克服することができませんでした。その生涯は、当時の藩政の厳しさを物語るものと言えるでしょう。

もう一度検索