中川久貴

中川久貴（なかがわ ひさたか）

中川久貴は、豊後国岡藩の第10代藩主として知られる歴史的人物であり、その生涯は日本の幕末期における藩政の変遷と地域の民情を映し出しています。彼は天明7年（1787年）4月2日、江戸にて大和郡山藩主・柳沢保光の五男として生を受けました。

藩主としての就任と業績

久貴は寛政10年（1798年）11月29日に岡藩の第9代藩主・中川久持の養子として家督を継承しました。彼が藩主として初めて将軍徳川家斉に拝謁したのは、享和元年（1801年）9月15日のことです。この年の12月には従五位下および修理大夫に叙任され、藩の地位を固めていきました。

文化元年（1804年）、久貴は豊後の地誌『豊後国誌』を編纂し、幕府に献納しました。この業績は岡藩の学問のレベルを広く認識させ、久貴の治世における重要な成果となりました。

また、文化4年（1807年）からは横山甚助を中心に藩財政の再建が目指される「新法改革」が始まりました。しかし、厳しい専売制や高い税負担により、藩民からの反感が生じ、文化8年（1811年）には大規模な一揆が勃発します。これは他の藩にも波及し、岡藩の施策が大きな影響を及ぼす状況が作り出されました。

一揆とその後の対応

一揆の発生を受け、久貴は藩民の要求を真摯に受け入れ、横山甚助を罷免し、文化9年（1812年）には何とか一揆を鎮めることができました。この一連の出来事は、彼の統治能力を試す試練であったとも言えます。

隠居と晩年

久貴には実子がいたものの、正室の満からの要求により、娘の絢を井伊家の久教に嫁がせることを選択せざるを得ませんでした。久貴はその後、文化12年（1815年）6月に家督を譲って隠居生活に入りました。

彼は文政7年（1824年）10月20日に死去し、享年は38歳という若さでの旅立ちとなりました。

系譜

久貴の家族に関しては、父は柳沢保光、母は小林氏、養父は中川久持。正室は松平信明の養女で杉浦正直の娘の満、また複数の子どもをもうけています。その中には長男の中川久利や次男の中川久祐、三男の中川栄之進、そして養子の中川久教も名を連ねています。久貴の歴史的な業績と家計が織りなす物語は、彼を豊後国岡藩の中でも重要な藩主として位置付けるものであり、地域の歴史にその足跡を残しています。

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