中村勇太郎

中村勇太郎

中村勇太郎（なかむら ゆうたろう、1908年2月5日 - 1983年12月15日）は、昭和時代に活躍した日本の囲碁棋士です。千葉県野田市出身。岩佐銈九段に師事し、日本棋院に所属、九段まで昇りつめました。その棋風は手厚く堅実であることで知られています。

経歴

中村勇太郎は、1908年（明治41年）2月5日に千葉県野田市に生まれました。少年時代には、地元のキッコーマン社長であった茂木房五郎から囲碁の指導を受け、その才能を磨きました。18歳の時に上京し、日本棋院に通い始めます。1928年（昭和3年）に入段試験に合格し、プロ棋士としての第一歩を踏み出しました。

1928年: 入段、二段
1933年: 四段
1939年: 第1期本因坊戦に甲組四段として出場
1941年: 五段
1943年: 第3期本因坊戦で挑戦者決定リーグ入りを果たすも、岩本薫、藤沢庫之助に敗れる
1951年: 六段
1953年: 呉清源との「新鋭初手合」に出場
1955年: 七段
1957年: 第3期最高位決定戦リーグ入り。その後も第6期までリーグに残留
1964年: 名人戦リーグ入り
1965年: 八段
1978年: 野田市文化功労賞を受賞
1981年: 73歳で九段に昇段。これは当時の最高齢記録でした。
1983年: 引退。同年、療養中の病院で死去。

1955年から1972年まで日本棋院の院生師範を務め、後進の育成にも尽力しました。「新人キラー」という異名も持ち、若手棋士にとって手強い存在でした。門下からは茅野直彦九段、黒沢忠尚九段といった著名な棋士を輩出しています。

囲碁以外にも、俳句を趣味としており、俳号は東江（とうこう）と称しました。棋士の俳句の会である「たちばな句会」では、村島誼紀の後を継いで会長を務めるなど、文化的な活動にも積極的に参加しました。

中村勇太郎は、囲碁界において確かな足跡を残し、多くの人々に記憶される棋士の一人です。その手厚く堅実な棋風は、多くの棋士やファンに影響を与えました。

参考文献

* 伊藤敬一「思い出の棋士 中村勇太郎九段」（『棋道』日本棋院 1985年8-10月号）

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