中村又五郎 (2代目)

二代目中村又五郎の生涯と業績

二代目中村又五郎（にだいめ なかむら またごろう）。本名は中村幸雄（なかむら ゆきお）であり、1914年7月21日に生まれ、2009年2月21日に94歳で没しました。歌舞伎における重要な存在として知られ、屋号は播磨屋、定紋は揚羽蝶、替紋は向い菱、俳名は紫琴です。また、彼は重要無形文化財保持者（人間国宝）としても認知されています。

来歴

初代中村又五郎の長男として生まれ、幼少期は父の舞台活動を見て育ちました。父が1920年に急死した後、二代目は吉右衛門の下での修行を始め、1921年に市村座にて初舞台を踏みます。以後、彼は一度も名跡を変更することなく、長いキャリアを築いていきました。1961年には八代松本幸四郎らと共に東宝に移籍し、1973年には東宝専属として活動し続けました。

2004年12月の歌舞伎座での舞台では、彼の90歳を記念する芝居を披露しました。彼は読書家としても知られ、多くの文献を出版したことから、その知識の深さについても評価されています。2006年に行われた「六世中村歌右衛門五年祭追善口上」が最後の舞台出演となり、2009年には老衰により東京都内で逝去しました。

人物・芸風

又五郎の持ち味は小柄ながらも存在感にありました。脇役としての力量を発揮し、主役を引き立てる役回りを得意としていました。彼は吉右衛門の下で女方としての技術を磨いた後、若衆方や老役にまで役柄を拡げ、特に体裁やしなやかさを持つ演技により観客を魅了しました。

また、彼は多くの有名役者との共演を通じて、舞台の調整役としての役割も果たしました。国立劇場の歌舞伎俳優養成事業の主任講師としても活動し、また俳優協会の財務関係の理事としても貢献しました。彼の教え子たちとして九代目松本幸四郎や二代目中村吉右衛門などが名を連ねる点からも、彼の指導力が窺えます。

テレビドラマ

又五郎はテレビドラマにも多く出演し、特に時代劇での活躍が際立ちました。1982年から1983年にかけてフジテレビで放送された『剣客商売』のスペシャルドラマでは秋山小兵衛を演じ、その存在感を示しました。さらに、同年の『仕掛人藤枝梅安』や『鬼平犯科帳』にも出演し、多彩な役柄を演じ分ける技術が高く評価されています。

著作

彼は数冊の著作を残しており、1982年には山田五十鈴との対談をまとめた『芝居万華鏡』を出版しました。その他にも芸に関する書籍や、聞き手である郡司道子との対談を収めた作品もあります。

評価

彼の演技は多くの作家にも評価されており、戸板康二や池波正太郎が彼の芸に高い評価を与えていることが知られています。彼の活躍は、歌舞伎界における伝統と革新の架け橋として、人々に長く記憶されています。

二代目中村又五郎は、その独自の芸風や育成した後世の役者たちを通じて、歌舞伎の発展に寄与し続けました。彼の存在は、今後も語り継がれていくことでしょう。

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