中村和彦 (映画監督)

中村和彦

中村和彦（なかむら かずひこ、1960年 - ）は、社会派のドキュメンタリー作品で知られる日本の映画監督。

経歴

福岡県大牟田市出身。福岡県立三池高等学校を卒業後、早稲田大学第一文学部東洋史専攻に進学。大学在学中に映画助監督の現場を経験し、映画の道へ進むことを決意し大学を中退。池田敏春、森安建雄、細野辰興、望月六郎、石井隆などの監督の助監督を務め、奥田瑛二の監督補佐も経験しました。

2002年、『棒-Bastoni-』で劇場用映画監督としてデビュー。その後、サッカー日本代表のオフィシャルドキュメンタリーDVD『日本代表激闘録』シリーズ（2004〜2017）のディレクターを担当。2007年には、知的障害者サッカー日本代表チームのドキュメンタリー映画『プライド in ブルー』を発表し、文化庁映画賞優秀賞を受賞。

その後もスポーツドキュメンタリー映画の製作を続け、2010年にはろう者サッカー女子日本代表を描いた『アイ・コンタクト もう1つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー』が山路ふみ子映画福祉賞を受賞。2019年には、電動車椅子サッカーの選手たちを追った『蹴る』を公開するなど、社会的なテーマを扱った作品を手がけています。

中村監督の作品制作の特徴は、徹底的なリサーチに基づいている点です。取材対象への深い理解のために、実践的なリサーチを敢行しています。

例えば、『アイ・コンタクト』の製作にあたっては手話を習得し、簡単な通訳や手話での舞台挨拶ができるほどに上達。『蹴る』の製作中には介護職員初任者研修を受講し、3年間ほど筋ジストロフィーや脊髄損傷、脳性麻痺者の介助に従事。食事、排泄、入浴、就寝、寝返り介助などを通して、登場人物たちの医学面、社会面、心理面への理解を深めました。

2016年に公開された東日本大震災復興支援映画『MARCH』は、International Filmmaker Festival of World Cinema LONDONで最優秀外国語ドキュメンタリー賞、ニース国際映画祭で外国語ドキュメンタリー映画最優秀監督賞を受賞しています。

フィルモグラフィー

劇場用映画 監督作品

棒-Bastoni-（2002年）
プライド in ブルー（2007年）
アイ・コンタクト もう1つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー（2010年）
MARCH（2016年）
蹴る（2018年）

DVD ディレクター作品

サッカー 日本代表
日本代表激闘録 アジアカップ 中国 2004 V2(2004年)
日本代表激闘録 2006FIFAワールドカップドイツ アジア地区最終予選グループB PART.1(2005年)
日本代表激闘録 2006FIFAワールドカップドイツ アジア地区最終予選グループB PART.2(2005年)
日本代表激闘録 AFCアジアカップ2007 INDONESIA MALAYSIA THAILAND VIETNAM ~オシム・ジャパン進化論~(2007年)
日本代表激闘録 2010FIFAワールドカップ南アフリカ アジア地区最終予選(2009年)
日本代表激闘録 AFCアジアカップ カタール2011(2011年)
日本代表激闘録 2014FIFAワールドカップブラジルアジア地区最終予選(2013年)
日本代表激闘録 アジア最終予選 ROAD TO RUSSIA(2017年)
サッカー オリンピック予選
U-22 日本代表激闘録 北京オリンピック2008 男子サッカーアジア地区予選(2008年)
日本代表激闘録 U－23日本代表&なでしこジャパン ロンドンオリンピック2012 サッカーアジア地区最終予選(2012年)
U－23日本代表激闘録 AFC U－23選手権カタール2016(リオデジャネイロオリンピック2016・アジア最終予選)(2016年)
サッカークラブチーム
浦和レッドダイヤモンズ栄光への軌跡AFCチャンピオンズリーグ2007(2008年)
ガンバ大阪 栄光への軌跡 AFCチャンピオンズリーグ2008(2009年)
野球
ワールドベースボールクラシック日本代表V2への軌跡(2009年)

その他映像作品

ある朝パニック（テレビドラマ 関西テレビ・1993年）
足を舐める男（ビデオシネマ 1997年）
STOP! 精神科病棟転換型居住系施設 やれば、できるさ！(DVD 2015年）

書籍

アイ・コンタクト（岩波書店 2011年）

受賞歴

2007年 - 文化庁映画賞 - 優秀賞（『プライド in ブルー』）
2010年 - 第27回山路ふみ子映画賞 - 福祉賞 （『アイ・コンタクト もう1つのなでしこジャパン ろう者女子サッカー』）
2017年 - International Filmmaker Festival of World Cinema LONDON - 最優秀外国語ドキュメンタリー賞 （『MARCH』）
* 2017年 - ニース国際映画祭 - 外国語ドキュメンタリー映画最優秀監督賞（『MARCH』）

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