中村啓信

中村啓信（なかむら ひろとし）は、1929年（昭和4年）に山梨県甲府市で生まれました。國學院大學で日本文学を専攻し、卒業後は同大学の大学院に進学。博士課程を修了後、國學院大學日本文化研究所の研究員となりました。その後、1976年には國學院大學文学部の教授に就任し、日本文化研究所の教授も兼任しました。

中村氏は、日本の古典文学、特に『古事記』と『日本書紀』の研究に力を注ぎました。1989年には古事記学会の代表理事に就任し、同学会の発展に貢献しました。また、同年には日本学術会議の推薦人にも選ばれています。1993年には、長年の研究成果をまとめた学位論文『荷田春満書入古事記とその研究』を國學院大學に提出し、文学博士の学位を取得しました。

2000年に國學院大學を定年退任しましたが、その後も名誉教授として、研究活動を続けています。中村氏の著作は多岐にわたり、『日本書紀総索引 漢字語彙篇』や『日本神話』などの共編著のほか、『信西日本紀鈔とその研究』、『荷田春満書入古事記とその研究』といった研究書を著しています。また、古典の校訂にも力を入れており、『新訂 古事記』や『日本書紀』、『古事記 現代語訳付き』、『風土記 現代語訳付き』など、多くの古典を現代に読みやすく蘇らせました。

特に『荷田春満書入古事記とその研究』は、中村氏の学術的な業績を代表するものであり、その研究成果は学界に大きな影響を与えました。中村氏は、日本の古典文学研究に多大な貢献をし、後進の育成にも力を注ぎました。彼の研究は、古典文学の理解を深めるだけでなく、日本の文化や歴史を学ぶ上で欠かせないものとなっています。また、氏の業績を記念して『記紀万葉論攷 中村啓信先生古稀記念』が刊行されています。

中村啓信氏は、日本の古典文学研究において重要な役割を果たした人物であり、その業績は今後も長く語り継がれるでしょう。

主な著作

『日本書紀総索引 漢字語彙篇』(全4巻) 編、角川書店 1964-1968
『日本神話』菅野雅雄共編、桜楓社 1978
『信西日本紀鈔とその研究』編著、高科書店 1990
『荷田春満書入古事記とその研究』編著、高科書店 1992
『風土記を読む』谷口雅博・飯泉健司共編、大島敏史写真、おうふう 2006
『風土記探訪事典』谷口雅博・飯泉健司,・大島敏史共著、東京堂出版 2006

校訂等

『新訂 古事記』武田祐吉訳注、中村補訂、角川文庫 1977
『日本書紀』(神道大系 古典編 2-4) 神道大系編纂会 1983
『日本書紀註釈 上』(神道大系 古典註釈編 2) 校注、神道大系編纂会 1988
『古事記 現代語訳付き』新版、訳注、角川ソフィア文庫 2009
* 『風土記 現代語訳付き』監修・訳注、角川ソフィア文庫 2015

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