中村太地 (ヴァイオリニスト)

中村太地（なかむら だいち）は、1990年5月28日に日本の福岡県北九州市で生まれたヴァイオリニストである。現在はオーストリアのウィーンを活動の拠点としている。

音楽との出会いは早く、3歳の時にヴァイオリンの手ほどきを受けた。幼少期からその才能の片鱗を見せ、9歳で早くも九州交響楽団とのオーケストラ初共演を果たした。国内では西和田ゆう、アナスタシア・チェボタリョーワ、堀正文といった著名なヴァイオリン指導者たちに師事し、基礎を固めた。その後、更なる研鑽を積むためヨーロッパへ渡り、ウィーン国立音楽大学ではミヒャエル・フリッシェンシュラーガー教授に、エリザベート王妃音楽大学では世界的なヴァイオリニストであるオーギュスタン・デュメイ氏に師事し、国際的な視野と表現力を培った。福岡県立小倉高等学校を卒業している。

学生時代から国内外の主要なコンクールで輝かしい成績を収めている。ウィーンへの留学を志す以前の2004年には、若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクールに入賞し、将来を嘱望された。翌2005年には第3回名古屋国際音楽コンクールで第1位を獲得するなど、早くからその実力が認められていた。また、この年にはクフモ室内楽音楽祭にも参加している。2009年にウィーンへ拠点を移して以降、国際舞台での活躍は一層顕著になる。2012年には第8回アラム・ハチャトゥリアン国際音楽コンクールで第3位、2013年には第2回ヴァスコ・アバディエフ国際コンクールで最高位を受賞した。2014年の第7回フリッツ・クライスラー国際コンクールでは特別賞、2015年の第22回ブラームス国際コンクールでは第3位を獲得。さらに2016年の第35回ロドルフォ・リピツァー賞国際ヴァイオリン・コンクールでも入賞を果たすなど、ヨーロッパ各地で開催される難関コンクールで継続的に実績を積み重ねた。そして2017年には、第24回ブラームス国際コンクールにおいて見事第1位に輝き、その実力と将来性を世界に知らしめた。同年には、故郷である北九州市から市民文化奨励賞を授与され、地元からの期待も集めている。

活発な演奏活動を展開しており、国内外の著名なオーケストラと多数共演している。これまでに共演したオーケストラには、新日本フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、セントラル愛知交響楽団、日本センチュリー交響楽団といった日本の主要オーケストラに加え、NDR北ドイツ放送フィルハーモニー交響楽団、サンクトペテルブルク交響楽団、ワロン王立室内管弦楽団、クラーゲンフルトフィルハーモニー管弦楽団、ソフィア祝祭管弦楽団、ソフィアフィルハーモニー管弦楽団、フィルハーモニア・ジェルノグルシュカ、セルビア・ニシュ交響楽団など、海外のオーケストラも数多く含まれる。

現在、北山コーポレーション代表取締役の北山英樹氏より貸与された、1738年製ジュゼッペ・グァルネリ・デル・ジェスによって製作された名器「ソフィー・ハース」を使用しており、その豊かな響きによって音楽表現を深化させている。

プライベートでは、同姓同名だが読み方が異なる棋士の中村太地氏と親しい交流があることで知られている。2013年頃に共通の知人を通じて知り合い、以来定期的に食事を共にするなどして情報交換を続けているという。また、彼の出身地である北九州市に本社を置く企業、航空会社のスターフライヤーとタクシー事業などを展開する第一交通産業がスポンサーとして彼の活動を支援しており、地元との繋がりも大切にしている様子がうかがえる。

確固たる技術と豊かな音楽性を兼ね備え、国際的な舞台で精力的に活動する中村太地氏は、今後のクラシック音楽界を担うヴァイオリニストとして更なる活躍が期待されている。

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