中村守雄

中村守雄（なかむら もりお）

中村守雄は、1926年（大正15年）12月9日に生まれ、1995年（平成7年）5月28日に亡くなった、日本の陸軍軍人、陸上自衛官です。最終階級は陸将で、第16代北部方面総監、第19代陸上幕僚長を歴任しました。陸上自衛隊の最後の旧陸軍出身者として知られています。

生い立ちと陸軍入隊

三重県出身の中村は、生家が明野陸軍飛行学校に近かったことから、幼い頃から飛行機の爆音や軍服に憧れを抱いていました。その影響から、陸軍航空士官学校に第60期生として入校します。同期には、後に第17代航空幕僚長、第16代統合幕僚会議議長となる森繁弘がいました。

自衛隊入隊と機甲科

終戦後、中村は一時家業を継ぐことを考えましたが、警察予備隊の創設を知り、1950年（昭和25年）8月に2等警査（2等陸士）として入隊しました。入隊後は、第8連隊第14中隊（戦車中隊）に配属され、これを機に機甲科に進みます。当初は米軍供与のM24軽戦車に乗り、その後M4中戦車で中隊長を務めました。一時戦車部隊を離れますが、後に第1戦車団長として、61式戦車、74式戦車といった国産戦車にも触れる機会を得ました。

陸上自衛隊での要職

第1戦車団長の後、陸幕教育訓練部長、第7師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監と、陸幕と北海道を往復する形で勤務しました。1984年（昭和59年）7月には、第19代陸上幕僚長に就任しました。北部方面総監時代には、有事法制が未整備であった1983年当時、ソ連軍の北海道侵攻を想定し、北部方面隊が合法的にソ連軍を迎撃するための研究を行い、その成果をレポートにまとめ、部内の各級指揮官に教示しました。

日本航空123便墜落事故への対応と辞任

陸上幕僚長在任中には、日本航空123便墜落事故が発生し、第1空挺団などの陸自部隊を指揮して対処にあたりました。しかし、1986年（昭和61年）3月には、増岡鼎東部方面総監が「今の自衛隊員は不動の姿勢を2～30分取るだけで卒倒するような落ちこぼればかり」と発言したことに対する指揮監督不行き届きの責任を取り、辞任することとなりました。

その後

1995年（平成7年）5月28日、中村は肺水腫のため、三重県伊勢市内で逝去しました。享年68歳。死後、正四位、勲二等瑞宝章が追贈されました。

年譜

1945年（昭和20年）8月：陸軍航空士官学校修業（第60期）
1950年（昭和25年）8月：警察予備隊入隊（2等警査）
1950年（昭和25年）10月：2等警察士
1964年（昭和39年）3月16日：陸上幕僚監部第5部勤務
1967年（昭和42年）1月1日：2等陸佐昇任
1967年（昭和42年）3月16日：陸上幕僚監部第1部勤務
1970年（昭和45年）7月16日：第13師団司令部第3部長
1971年（昭和46年）1月1日：1等陸佐昇任
1972年（昭和47年）3月16日：陸上自衛隊幹部学校学校教官
1973年（昭和48年）3月16日：陸上自衛隊幹部学校企画室勤務
1974年（昭和49年）7月16日：第33普通科連隊長兼久居駐屯地司令
1976年（昭和51年）3月16日：中部方面総監部第3部長
1977年（昭和52年）7月1日：陸将補昇任、中部方面総監部幕僚副長
1978年（昭和53年）7月1日：第1戦車団長（末代）兼北恵庭駐屯地司令
1980年（昭和55年）7月1日：陸将に昇任、陸上幕僚監部教育訓練部長
1981年（昭和56年）3月31日：第7師団長に就任
1982年（昭和57年）3月16日：陸上幕僚副長に就任
1983年（昭和58年）3月16日：第16代 北部方面総監に就任
1984年（昭和59年）7月1日：第19代 陸上幕僚長に就任
1986年（昭和61年）3月17日：辞職
1995年（平成07年）5月28日：肺水腫のため逝去

栄典

レジオン・オブ・メリット・コマンダー - 1986年（昭和61年）3月13日
* 勲二等瑞宝章 - 1995年（平成7年）5月28日

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