森繁弘

森繁弘：軍人、自衛官、そして歴史学者

森繁弘（もり しげひろ）は、1928年1月7日に東京で生まれました。父が陸軍技術将校であった影響から、幼少期より軍人の道を志し、大阪陸軍幼年学校に入学。その後、陸軍予科士官学校、陸軍航空士官学校へと進み、航空要員としての訓練を受けました。

1945年8月、旧満州へ飛行訓練に向かう途中で終戦を迎え、ソ連軍の侵攻により徒歩での撤退を経験。戦後は大阪市警の警察官として勤務した後、1950年9月に警察予備隊へ入隊し、自衛隊へとその身を投じます。航空自衛隊発足と同時に転官し、パイロットとしてのキャリアをスタートさせました。1956年にはF-86Fの訓練のためアメリカへ留学。夜間飛行訓練中に雷雲に遭遇し、コンパス故障と燃料切れでアリゾナ砂漠にベイルアウトするという危機的状況も経験しています。

その後、航空幕僚監部防衛課長、第7航空団司令、北部方面航空隊司令官といった要職を歴任し、1983年には航空幕僚長に就任。航空自衛隊の装備近代化、特にペトリオットミサイルの導入に尽力しました。さらに、1986年には統合幕僚会議議長に就任し、日米共同統合指揮所演習の実施など、日米および陸海空自衛隊の統合運用体制の基礎を築きました。

森氏は、旧日本軍の軍服を着用した自衛官としては最後まで自衛隊に在籍していた人物としても知られています。また、在職中から日本史研究にも熱心で、特に邪馬台国研究においては少数派である北九州説を支持していました。

年譜

1945年8月：陸軍航空士官学校卒業
1950年9月：警察予備隊入隊
1954年10月：航空自衛隊に転官
1970年7月：1等空佐に昇任
1970年10月：駐在ソ連日本国大使館防衛駐在官
1974年7月：第8航空団副司令
1975年5月：航空幕僚監部防衛部勤務
1975年7月：航空幕僚監部防衛部防衛課長
1976年7月：空将補に昇任
1977年10月：第7航空団司令兼百里基地司令
1979年7月：空将に昇任
1980年7月：北部航空方面隊司令官
1982年7月：航空幕僚副長
1983年4月：第17代航空幕僚長
1986年2月：第16代統合幕僚会議議長
1987年12月：退官

栄典

1984年2月：レジオン・オブ・メリット・コマンダー
1998年4月：勲二等旭日重光章

著書

* 『発見! 邪馬台国への航跡』講談社、1987年。

森繁弘は、軍人、自衛官として日本の防衛に尽力しただけでなく、歴史学者としても独自の視点を持って研究活動を行った人物です。激動の時代を生き抜き、その経験を次世代に伝えるべく、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。彼の足跡は、日本の近現代史において重要な意味を持っています。

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