中村実宗

中村実宗（なかむら さねむね）

中村実宗は、平安時代後期に活躍した人物です。藤原北家山蔭流の流れを汲み、父は式部少輔を務めた藤原定任。彼は、武士として、また地方官として、その名を歴史に刻みました。

経歴

康和2年（1100年）には、陸奥守兼鎮守府将軍という要職に任じられます。これは、当時の東北地方における軍事・行政両面での重要人物であったことを示しています。嘉承2年（1107年）8月には、堀河天皇の崩御に際し、香隆寺・興福寺での法要に勅使として派遣されるなど、朝廷からの信任も厚かったことが伺えます。

天永2年（1111年）には、常陸介に任命され、常陸国（現在の茨城県）の伊佐荘に伊佐城を築き、伊佐実宗と名乗るようになります。常陸介として赴任すると、朝廷から常陸国への臨時の課税が命じられますが、国内の疲弊により税の支払いが困難であったため、大蔵卿の大江匡房に免除を願い出ます。匡房はこれを受け入れ、代わりに遠江国（現在の静岡県西部）に税を課したという逸話が残っています。

永久元年（1113年）には、鹿島神宮の造営に貢献します。また、武蔵国（現在の埼玉県・東京都・神奈川県の一部）で起こった横山党の乱を鎮圧するなどの軍事的功績も挙げました。その後、真壁郡中村（現在の茨城県桜川市）に居住し、中村を氏として中村実宗と称しました。

系譜

父：藤原定任
母：不詳
兄弟：
章家（春宮少進）
覚暹（仁和寺僧）
頼緑（僧）
範緑（興福寺僧）
廉慶（延暦寺僧）
妻：不詳
男子：中村季孝
女子：
複数存在し、うち一人は菅野景之（大生神社神主）の室

後世への影響

中村実宗は、中村氏と伊佐氏の祖として、その子孫は常陸国を中心に勢力を広げました。彼の築いた伊佐城は、その後も戦略的な拠点として利用され、鹿島神宮への貢献は、地域社会に大きな影響を与えました。また、横山党の乱の鎮圧における武功は、彼の武士としての名声を高めました。

参考文献

『尊卑分脈』
『寛永諸家系図伝』
『寛政重修諸家譜』
『永禄伊達系図』(仙台市博物館所蔵)
伊達氏誕生 松浦丹次郎（土龍舎、1982年）

関連項目

中村氏 (下野国)
* 常陸伊佐氏

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