中村敬之進

中村敬之進の生涯

中村敬之進は、1895年（明治28年）9月9日に生まれ、1978年（昭和53年）4月12日に没した日本の官僚です。内務省、警察、厚生省といった行政の中枢を担い、激動の時代を駆け抜けました。

若き日の歩み

山口県出身の中村は、中村藤左衛門の次男としてこの世に生を受けました。山口県立山口中学校、第一高等学校を経て、東京帝国大学法学部法律学科（独法）を卒業。1921年11月には高等試験行政科試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

内務省での活躍

1922年4月に内務省に入省し、福岡県属として内務部庶務課に配属されたことを皮切りに、中村は警察官僚としての道を歩み始めます。福岡県警視・警察部保安課長を皮切りに、神奈川県警察部、兵庫県警察部特別高等警察課長、地方事務官・京都府勤務、内務事務官・警保局勤務、警務官、内務書記官・警保局図書課長など、様々な要職を歴任しました。その間、内閣調査局調査官、企画庁調査官、同次長心得、企画院内政部長、同第三部長も務め、幅広い分野でその才能を発揮しました。

愛媛県知事から厚生次官へ

1940年7月には愛媛県知事に就任し、戦時下における地方行政の舵取りを担いました。その後、1941年11月に厚生省に転じ、人口局長、勤労局長を経て、1945年2月から同年8月まで厚生次官を務めました。戦時体制下における厚生行政の中枢を担った後、退官しました。

戦後の活動

退官後、中村は公職追放の対象となりましたが、1951年8月に解除され、実業界での活躍を開始します。大中物産(株)の代表取締役をはじめ、同社会長、同社顧問を歴任。また、新宿御苑保存協会の会長も務めるなど、その活動は多岐にわたりました。

栄典と著作

1940年（昭和15年）8月15日には、紀元二千六百年祝典記念章を受章しました。また、1934年には『共産主義運動概観』を文部省から刊行しており、その研究者としての側面も窺えます。

参考文献

中村敬之進に関する情報は、以下の文献に詳しい記述があります。

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。

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