中村歌右衛門 (6代目)

六代目 中村 歌右衛門

六代目中村歌右衛門（なかむら うたえもん、1917年1月20日 - 2001年3月31日）は、日本の歌舞伎界における重要な存在であり、特に女形として名を馳せました。彼の屋号は成駒屋で、彼は日本芸術院の会員であり、人間国宝にも認定されていました。生涯を通じて歌舞伎に専念し、映画やテレビドラマには一切出演しなかったことでも知られています。

来歴

六代目歌右衛門は五代目中村歌右衛門の次男として誕生し、幼い頃に母方の河村家に養子として入ったことで本名は河村藤雄となりました。彼は早くから父の影響を受け、歌舞伎の世界に身を投じましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。幼少期には、先天的な左足の疾患により寝込むことが多く、大手術を経て歩けるようになりました。そのため、彼の舞台での動きには独特のぎこちなさが残ることとなります。

1922年の初舞台で三代目中村兒太郎を襲名し、順調なスタートを切ったものの、1933年に兄が早世した後は、次代を担う責任に悩まされました。1940年には父親も亡くなり、歌舞伎界の孤児となってしまいます。彼はその後、六代目中村芝翫を襲名し、吉右衛門劇団に所属。ここで経験豊富な演者たちから多くの指導を受けたことが、彼の演技に大きく寄与しました。

歌舞伎舞台での彼の名演は数多く、1948年には文部省芸術祭文部大臣賞を受賞。1951年には再び六代目中村歌右衛門として名を馳せることとなります。その後、多くの名誉を得ながらも、自らの枠に留まらず、舞台の監修や後進の指導にも力を注ぎました。

芸風と当たり役

歌右衛門は生涯を通じて多くの女形の役を演じ、それぞれのキャラクターに命を吹き込みました。彼は『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子や『籠釣瓶花街酔醒』の八橋など、多様な役柄を演じました。特に『祇園祭礼信仰記』の雪姫や『本朝廿四孝』の八重垣姫などの演技は、彼の名を不朽のものとしました。

性格と交友

六代目歌右衛門の性格は、穏やかでありながらも強い意志を持つ人物でした。彼は特にその姿勢が人々に誠意をもって接するものでありましたが、若い頃には駆け落ち事件を起こすなど大胆な一面も持ち合わせていました。彼は多くのライバルと友好関係を築き、とりわけ七代目尾上梅幸との競演は歌舞伎界における名勝負とされています。また、二代目中村鴈治郎とは親しい友人関係であり、両者の共演は多くの人々に喜ばれました。

趣味・嗜好

趣味はクマのぬいぐるみ収集で、千数百種類を集める情熱を持っていました。動物愛好家でもあり、旅先でのエピソードも多く、特に1960年のアメリカ公演を機にラスベガスを好みました。また、食に関しては甘いもの好きであり、特にシュークリームを好んでいました。さらに、舞台に立つことへの情熱は尽きることはなく、健康であれば皇族の前で踊ることも厭わなかった情熱家でした。

受賞歴

彼の業績は多くの賞によって表彰されています。1947年に文化庁芸術祭賞、1979年には文化勲章を受賞。2001年には従三位に叙され、彼の努力と貢献が広く認知されました。

歌右衛門は歌舞伎の継承者として、後世に多大な影響を及ぼし、彼の遺した作品や精神は今もなお、多くの演者やファンに支持され続けています。

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