中村民雄 (法学者)

中村民雄（なかむら たみお）

プロフィール

中村民雄氏は、1959年生まれの日本の法学者で、EU法とイギリス法を専門としています。その研究は、ヨーロッパ統合の法的側面や、それに伴う各国の憲法変動に焦点を当てています。現在、早稲田大学法学学術院教授として教鞭を執り、後進の育成にも尽力しています。

学歴と職歴

大分県で生まれ、東京大学法学部を卒業後、ロンドン大学大学院に進学し修士号を取得しました。さらに、東京大学大学院法学政治学研究科で博士号を取得し、学術的な基礎を築きました。その後、成蹊大学法学部で助教授および教授を歴任し、東京大学社会科学研究所教授を経て、現在は早稲田大学法学学術院教授として活躍しています。

研究内容

中村氏の研究は、特にEU法とイギリス法における憲法問題を深く掘り下げています。EUの統合プロセスが各国の法制度に与える影響や、国会主権の概念がどのように変化しているかを分析しています。また、ヨーロッパ統合における多層的な法的構造や、その変化についても研究対象としています。近年では、東アジア共同体の形成に向けた憲法的な議論にも関与し、国際的な視点からも法学の発展に貢献しています。

著書

中村氏は、数多くの著書を執筆しており、その研究成果は広く学術界で認められています。

単著

『イギリス憲法とEC法――国会主権の原則の凋落』（東京大学出版会、1993年）

この著書では、イギリスにおける国会主権の原則が、EC法（現在のEU法）の導入によってどのように変化したかを詳細に分析しています。

共著

（須網隆夫・臼井陽一郎・佐藤義明）『東アジア共同体憲章案――実現可能な未来をひらく論議のために』（昭和堂, 2008年）

東アジアにおける共同体の形成に向けた憲章案を提示し、その実現可能性について論じています。

編著

『EU研究の新地平――前例なき政体への接近』（ミネルヴァ書房、2005年）

EUという前例のない政治体制を多角的に分析し、その複雑な構造に迫っています。
『早く的確な救援のために――初動体制ガイドラインの提案』早稲田大学ブックレット＜「震災後」に考える＞（早稲田大学出版部、2012年）

災害発生時における迅速かつ的確な救援活動のための初動体制ガイドラインを提案しています。

共編著

（須網隆夫）『EU法基本判例集』（日本評論社、2007年）

EU法の重要な判例をまとめたもので、研究者や実務家にとって不可欠な資料となっています。
（大木雅夫）『多層的ヨーロッパ統合と法』（聖学院大学出版会, 2008年）

ヨーロッパ統合の多層的な構造を法的側面から分析しています。
『ヨーロッパ「憲法」の形成と各国憲法の変化』、中村民雄・山元一編、信山社, 2012年

ヨーロッパにおける憲法形成のプロセスと、各国憲法への影響を考察しています。

訳書

ヴァレンタイン・コーラー『EC競争法概説』（商事法務研究会、1989年）

EC（現在のEU）の競争法に関する重要な文献を翻訳し、日本の研究者や実務家に紹介しました。

社会活動

中村氏は、学術研究だけでなく、社会的な活動にも積極的に関与しており、その知見を活かして、より良い社会の実現に貢献しています。災害時の救援体制に関する研究や、東アジア共同体の構築に向けた提言など、その活動は多岐にわたります。

まとめ

中村民雄氏は、EU法とイギリス法を専門とする卓越した法学者であり、その研究は、ヨーロッパ統合と憲法変動に関する理解を深める上で非常に重要です。また、教育者としても多くの学生を指導し、次世代の法学者育成にも貢献しています。

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