中村浩 (国文学者)

中村浩について

中村浩（なかむら ひろし、1920年7月15日 - 1985年8月23日）は、日本の国文学者であり、歌人としても知られる人物です。彼は大阪市に生まれ、本名を米島勉といいます。彼の父は著名な書道家であり、大阪朝日新聞にも勤務していた中村眉山（本名は平三）でした。この家庭環境の影響から、中村浩は文学や書道に強い関心を持つようになりました。

特に興味深いのは、父の仕事が阪田三吉の書の代筆を担っていた影響で、晩年の阪田三吉との交流があったことです。この交流を基に、1972年の阪田の27回忌に向けて『実録王将伝』を執筆し、後にこれが『棋神・阪田三吉』として形を変えて出版されました。この作品を通じて、中村浩は将棋界における阪田三吉の存在を世に伝えることに成功しました。

学歴と初期のキャリア

中村浩は國學院大學の文学部国文学科を卒業後、折口信夫や金田一京助といった著名な学者たちに師事しました。彼の教育を受けた経験は、その後の彼の文学活動や教育活動に大いに役立ちました。戦後は関西大学や薫英学園で教職に就き、その後も大阪府議会事務局、四天王寺女子大学、羽衣学園短期大学、さらには辻調理師学校と多くの教育機関で活躍しました。

著作と業績

中村浩は多作の著者であり、彼の著作は日本文学における重要な資料です。代表作には、1972年に発表された『若き折口信夫』や、1976年の『句碑のある風景』、1980年の『棋神・阪田三吉』などがあります。特に『棋神・阪田三吉』は、将棋ファンのみならず、文学愛好家にも広く読まれています。また、1981年に発表した『十方化おおさか史 懐しき大正・昭和一けた』は、大阪の歴史を振り返る貴重な著作とされています。

さらに、1987年には『宵待草 中村浩短歌集』を発表し、個人の感性や思いを詠んだ作品を多く残しました。1991年から1997年には、父の残した資料をもとにした『父の残したもの 中村浩ファイルより』全3巻を刊行し、彼の文学的遺産を次世代に伝える努力を続けました。

共著作品

また、彼は他の著者との共著も多数行っており、1976年には庄野英二と共著で『大阪の伝説』、1979年には神坂次郎、松原右樹と共著で『紀州の伝説』を出版しています。これらの作品は、日本の文化や伝説についての深い知識を提供し、読者に楽しさだけでなく学びを与えるものとなっています。

結論

中村浩の業績は今もなお、文学や文化の分野で高く評価されています。彼の作品は日本文学の重要な一部として、多くの人々に影響を与え続けています。文学者、歌人としての彼の歩みは、次世代の作家たちにとっても大きな刺激となることでしょう。

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