庄野英二

庄野英二（しょうの えいじ、1915年11月20日 - 1993年11月26日）は、日本の児童文学者であり、元帝塚山学院大学の学長を務めました。彼の作品は、子供たちの心に深く響く冒険と成長の物語で知られています。

生涯

庄野英二は、山口県萩市で生まれ、生後まもなく大阪へ移り住みました。彼の父は帝塚山学院の初代校長である庄野貞一であり、教育一家に育ちました。1936年に関西学院専門部文学部哲学科を卒業。在学中から創作活動を始め、佐藤春夫や坪田譲治に師事し、文学の道を志しました。

1937年に入営し、北満洲で日中戦争を経験。1940年に負傷して帰還した後、1942年からはジャワ俘虜収容所に勤務し、武田麟太郎や佐藤春夫と交流を深めました。敗戦時はマレーに抑留されましたが、1946年に帰国。BC級戦犯容疑をかけられた際には、佐藤春夫がマッカーサー宛に書状を送ったことで釈放されています。

1948年に結婚し、帝塚山学院の教師となりました。教員時代には水泳部長を務め、日本水泳連盟機関誌にも寄稿するなど、多才な面を見せています。

文学活動

1955年に初の童話集『子供のデッキ』を刊行。1961年にはエッセイ集『ロッテルダムの灯』で日本エッセイスト・クラブ賞と大阪府芸術賞を受賞し、作家としての地位を確立しました。1963年には代表作の一つである『星の牧場』を刊行し、産経児童出版文化賞、野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞を受賞。1965年には「雲の中のにじ」でNHK児童文学奨励賞を受賞しています。

教育者としても貢献し、1965年に帝塚山学院高等学校長、1966年には帝塚山学院大学教授に就任。1972年には『アレン中佐のサイン』で赤い鳥文学賞、1975年には帝塚山学院大学学長に就任。1977年には『アルファベット群島』で再び赤い鳥文学賞を受賞。1983年には足立巻一、大谷晃一と同人誌『苜蓿』（もくしゅく）を創刊し、文壇での活動も続けました。1989年には巖谷小波文芸賞を受賞しています。

彼の作品は全集として11巻にまとめられており、小説、戯曲、詩、絵画など、多岐にわたる才能を示しました。その幅広い活動は、関西文壇における指導的な存在として高く評価されています。

庄野英二の作品は、戦争体験や海外での見聞に基づいたものが多く、子供たちの冒険心や好奇心を刺激する内容が特徴です。また、ユーモラスな表現や温かい人間描写も魅力であり、世代を超えて多くの読者に愛されています。

主な著書

ジャングルの冒険
こどものデッキ
ロッテルダムの灯
絵具の空
星の牧場
雲の中のにじ
アレン中佐のサイン
アルファベット群島

これらの作品は、現在も多くの人々に読み継がれており、児童文学の世界において重要な位置を占めています。

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