中村祐庸

中村祐庸についての詳細

中村祐庸（なかむら すけつね、1852年11月26日 - 1925年1月18日）は、日本の軍楽指導者であり、海軍軍楽長として貢献した偉大な音楽家です。彼の経歴は、日本の音楽史において重要な位置を占めています。

生い立ちと教育

中村は薩摩国（現在の鹿児島県）の鹿児島市にある長倉家に生まれました。明治維新前には、薩摩藩の楽隊に入団し、西洋音楽の基礎を学んでいました。1869年、彼はジョン・ウィリアム・フェントンに師事し、西洋音楽の学びを深めました。翌年には御親兵付として任命され、1871年からは横浜でフェントンが実施した西洋軍楽の伝習に参加しました。この頃から、彼は海軍軍楽隊の設立にも貢献するようになります。

中村は主にコルネットとフリューゲルホーンといった高音金管楽器を専門としていましたが、1885年にはオーボエの演奏も試みたとの記録があります。これは日本でのダブルリード楽器の導入が進む以前の試みでした。

軍楽長としての活躍

1871年、中村は海軍初代軍楽長に任命されました。彼のリーダーシップの下、海軍軍楽隊は急速に発展し、国内外でその評価を高めていきました。また、1874年の佐賀の乱や1877年の西南戦争にも従軍し、彼の音楽と軍事活動が相まって、歴史的な役割を果たしました。

「君が代」との関係

中村は国歌「君が代」の制定に関与しており、その功績が特に評価されています。1876年には、当時の国歌として存在していたジョン・ウィリアム・フェントンによる旋律の改訂を提言しました。西南戦争によってこの提案は一時伸びましたが、1880年には新たな旋律が正式に上申され、最終的に中村は陸軍軍楽長の四元義豊や音楽教師フランツ・エッケルトと共に国歌の完成に携わりました。これにより、中村は「君が代」の制定者の一人として評価されるようになりました。

音楽教育と貢献

海軍軍楽長としての彼の活動の一環として、1885年にはイギリス式の信号ラッパ譜の変更を行い、後に『喇叭譜』を制定しました。さらに、1880年代後半にはエッケルトを顧問に迎え、海軍の音楽教育も進めました。

晩年と死去

1902年には、イギリス国王エドワード7世の戴冠式に参加するため、遣英艦隊の軍楽隊長としてヨーロッパに派遣され、その後1903年に退官しました。晩年は横須賀市で過ごし、1925年1月18日に74歳で亡くなりました。彼の墓は青山霊園にあります。

関連文献

• - 工藤忠雄著『海軍軍楽隊 初代軍楽長中村祐庸遺録』、種智舎、1995

中村祐庸の音楽に対する情熱と見識は、今もなお後世に影響を与え続けています。彼の歴史的な貢献は、日本の音楽と軍事文化の架け橋となり、長い時間を経て人々の記憶に残ることでしょう。

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