中村祥之

中村 祥之（なかむら よしゆき、1966年5月22日生）は、日本のプロレスおよび格闘技界で長年にわたりプロモーターとして活躍する人物であり、現在は格闘技興行会社である株式会社ファースト・オン・ステージ（FOS）の代表取締役社長を務めています。

キャリアの始まり

中村氏のプロレス界との関わりは、専修大学在学中に始まります。当時、長州力氏と大塚直樹氏が率いていたリキプロダクション（後のジャパンプロレス）にアルバイトとして携わりました。ジャパンプロレスが崩壊した後、中村氏は新日本プロレスにアルバイトとして移籍し、1989年には正式な社員として入社。新日本プロレス時代は主に営業部門で手腕を振るいました。

ZERO-ONE旗揚げとFOS設立

2001年6月、橋本真也氏をはじめとする多くの選手が新日本プロレスを離れることになった際、中村氏もこれに追随して新日本を退社しました。そして、橋本真也氏、大谷晋二郎氏、高岩竜一氏らと共に、新たなプロレス団体「プロレスリングZERO-ONE」を旗揚げします。

ZERO-ONEが活動を停止した後、その受け皿となる団体「ZERO1-MAX」（現在のプロレスリングZERO1）の運営を継続するため、中村氏はその母体となる親会社としてファースト・オン・ステージ（FOS）を設立し、代表取締役社長に就任しました。2007年にはZERO1の社長職を大谷晋二郎氏に譲る形で退任しましたが、FOSの代表権は引き続き保持し、ZERO1を側面から支える立場となりました。

プロレス界での協調と展開

ZERO-ONE、そしてZERO1-MAX時代を通じて、中村氏はプロレスリング・ノアの仲田龍氏と親交を深め、両団体間での合同企画を数多く実現させました。ディファ有明で行われたタッグトーナメント「ディファカップ」や、団体間の連携組織である「GPWA（Global Professional Wrestling Alliance）」への参加、ノアのビジネスモデルを取り入れたファン向け企画「ぜろぜろくじ」などがその具体例として挙げられます。中村氏は、一時的にZERO1-MAXとノアが姉妹団体のような緊密な協力関係を築く上で、重要な役割を果たしました。

また、FOSとハッスルエンターテイメントが共同で主催していたエンターテイメント色の強いプロレス興行「ハッスル」においては、中村カントクというユニークなキャラクターに扮して登場し、興行を盛り上げました。

新たな格闘技への挑戦

2016年には、ミャンマーの国技とも称される素手による格闘技「ラウェイ」のプロモーターライセンスを取得し、一時期はその興行運営に注力しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行などの影響を受け、ラウェイの興行活動は一時休止に追い込まれます。

ラウェイの興行が滞る中、中村氏は新たな活動としてミャンマーでのプロボクシング組織設立に乗り出します。2023年頃からこの活動に従事し、日本のボクシング統括団体である日本ボクシングコミッション（JBC）の支援も受けながら、準備を進めました。特に、JBCの執行理事である安河内剛氏とは以前からの知り合いであり、安河内氏が過去にも他国でボクシングコミッション設立に関わった経験があったことから、ルール作りなどで多大な協力を得られたと語っています。そして2024年5月には、ついに「ミャンマーボクシングコミッション（MBC）」の設立に成功し、自らその事務局長に就任しました。

このように、中村祥之氏はプロレスリングZERO-ONE、ZERO1の設立・運営の中核を担い、他団体との連携強化やエンターテイメント興行への参画を経て、近年は国境を越えた新たな格闘技分野の組織構築にも尽力するなど、多角的な視点と行動力で日本の格闘技・プロレス界に影響を与え続けています。

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