中村鴈治郎 (2代目)

二代目中村鴈治郎の生涯と業績

二代目中村鴈治郎（本名：林 好雄）は、1902年に大阪に生まれ、1983年4月に亡くなるまで日本の歌舞伎界で重要な役割を果たしました。彼は成駒屋に所属し、イ菱を定紋とする歌舞伎役者として知られています。鴈治郎は日本芸術院の会員であり、重要無形文化財保持者（人間国宝）としても認定されていました。特に父である初代鴈治郎から引き継いだ二枚目役が得意であり、その演技は多くの観客から賞賛を受けました。

幼少期と初舞台

彼の芸歴は1906年に始まります。初めて舞台に立ったのは118歳で、初代中村扇雀に改名した後、青年劇中村扇雀一座で経験を積みました。1924年、大歌舞伎に復帰し、初代鴈治郎や二代目實川延若、十二代目片岡仁左衛門のもとで女形としての技術を磨いていきました。この時期、鴈治郎はその美しさと演技力で観客の心を掴んでいきました。

鴈治郎の名跡と演技

1935年に初代鴈治郎が他界した後、彼は若手の有望株として注目を浴びました。1941年に四代目中村翫雀、1947年には二代目中村鴈治郎を襲名しました。1952年には近松門左衛門の『曾根崎心中』を復活上演し、これをきっかけに彼の名声はさらに高まりました。しかし、当時の上方歌舞伎の衰退に直面し、鴈治郎自身の芸も伸び悩みました。

1955年、彼は松竹を離脱。これにより、上方歌舞伎はさらなる混乱を招くことになります。その後、映画やテレビドラマへの進出を決意し、特に映画デビュー後、数多くのヒット作品に出演しました。大映を中心に活躍し、『炎上』『鍵』『浮草』などでの演技が認められました。

映画とテレビでの活躍

映画出演はもちろんのこと、テレビドラマにも数多くの作品に登場しました。特に1970年代には『男は度胸』や『日本沈没』など、多くの人気ドラマに出演しています。1958年からは歌舞伎の自主公演「七人の会」にも参加し、再び歌舞伎の舞台にも戻ることになります。

家族と人間性

彼の家族には、義父に落語家の笑福亭圓歌、長男の四代目坂田藤十郎、娘婿には俳優の勝新太郎など、多くの要職を担う家族がいます。彼は庶民的で気さくな性格を持ち、パチンコや競馬を楽しんでいました。人間国宝に認定されてからも気軽にその生活を楽しむ姿勢が見られました。

晩年と影響

晩年には病に悩まされながらも舞台に立ち続け、1982年の京南座の『新口村』での忠兵衛が最後の舞台となりました。彼の死後、多くの仲間たちが彼の演技力や人柄を惜しむ声を寄せました。鴈治郎は日本の歌舞伎界に多大な影響を与えた名優で、彼の技や態度は次世代の役者たちにも受け継がれています。彼の多面的な才能と情熱は、今なお多くの人々に感銘を与え続けています。

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