中洲地区 (倉敷市)

倉敷市中洲地区：高梁川と共に歩んだ地域の歴史と現在

倉敷市中洲地区は、倉敷地域の北西部に位置する地区で、倉敷市立中洲小学校の学区とほぼ重なります。旧中洲町は現在の水江・酒津に加え中島を含みましたが、現在の中洲エリアには安江・八王寺町が含まれます。

概要

中洲地区は、倉敷市中心市街地の北西部に位置します。地区名の由来は、中心となる酒津・水江が旧中洲町に属し、その旧中洲町が東西に分かれた高梁川の間に位置していたことにあります。総社市境や船穂地区との境界には山地がありますが、その他は平地が広がります。高梁川が地区を北から南西へと流れ、地域を東西に分断しています。

中世後期まで、当地は吉備の穴海と呼ばれる海域でしたが、干拓により徐々に陸地化され、江戸時代中期には全域が陸地となりました。当時、高梁川は現在の総社市清音付近で東西に分かれ、当地の西側と東側をそれぞれ南流していました。明治後期から大正期にかけての高梁川改修工事により、東西の高梁川は廃川となり、現在の川筋が形成され地区が分断されました。

東高梁川の廃川地は、工場地や宅地、商業地として活用されています。岡山県道24号・396号・428号などの主要幹線道路が整備され、平成期には倉敷インターチェンジ付近から続く岡山県道60号線が開通し、ロードサイド店舗が立ち並び発展しました。

古くは米、麦、い草、野菜などの農業が盛んでしたが、現在は住宅地が中心となり、郊外型の市街地として人口が増加しています。かつては醤油醸造業や豆腐製造業、花莚、切り花なども盛んでしたが、現在は衰退傾向にあります。しかし、現在も古くから営業を続ける企業も存在します。

地域ごとの特徴

酒津

地区の北部に位置し、総社市清音と接する酒津は、古代の海岸線に位置し、高梁川の河口として古くから開かれていました。中世には、青江派と呼ばれる刀工が活躍し、彼らの刀剣が酒津の湊から各地へ流通しました。高梁川の水運を利用した川港として機能しましたが、新田開発により港としての機能は失われました。明治期の高梁川改修により、中央部が水没するなどの影響を受けましたが、倉敷絹織（現クラレ）の設立により住宅地が発達しました。酒津堰は、周辺の平野への配水池として整備され、現在は桜の名所として親しまれています。

水江

地区北部の高梁川下流東岸に位置する水江は、元和4年（1618年）に開墾されたとされます。備前岡山藩主・池田忠雄が東高梁川の川筋を固定し、東西の高梁川の間にできた葦原を開発し、水江村が誕生しました。高梁川の改修工事により東西に分断され、渡船「水江の渡し」が設置されました。倉敷絹織（現クラレ）の工場が造成され、近郊型園芸地帯として発展しましたが、近年は宅地への転換が進んでいます。イオンモール倉敷が立地し、大型幹線道路沿いにはロードサイド店舗や住宅地が多く見られます。

安江

中洲エリアの南東に位置する安江は、旧東高梁川の東岸堤防沿いにできた農村です。江戸時代に池田長幸が開墾し、安江村が誕生しました。高梁川の改修工事により地区の面積が広がり、現在では中洲団地や中洲保育園などが立地しています。幹線道路沿いにはロードサイド店が多く、その他は住宅地となっています。

八王寺町

中洲エリアの東部に位置する八王寺町は、東高梁川廃川以前は同河川の東岸地域でした。古代には吉備の穴海の一部で、高梁川の土砂堆積により干潟地帯となりました。新田開発が行われ、井上寺の遷し、八王子権現を祀ったことが地名の由来とされています。現在は、大型幹線道路の整備などにより住宅化が進み、ロードサイド店舗が林立しています。

水江の渡し・酒津の渡し

高梁川の改修により分断された酒津・水江を結ぶ交通手段として、酒津の渡し・水江の渡しがありました。しかし、西岸側の人口減少により利用客が減少し、酒津の渡しは廃止、水江の渡しも倉敷大橋の開通により廃止されました。

産業と特産品

かつては花莚、人工絹糸、醤油、豆腐などが生産され、水江・酒津ではカワガニが獲れました。米、麦、イグサ、レンコン、切り花なども盛んでしたが、現在は衰退しています。しかし、酒津焼など、現在も特産品として残るものもあります。

もう一度検索